176 / 206
第175話 冷静に欠ける
しおりを挟む
翠羽が苦しんで倒れてしまった。
慌てて受け止めたが、彼女はずっと苦しんでいるばかり。
何か術を受けたのか?
その兆候はなかったのに、術を放ったことでかえってきたのだろうか?
どちらにしても、よくはない。
早く……早く処置してあげないと。
「落ち着いてください、国綱さん」
肩に手を置かれたので振り返れば……透明人間なので顔はないが、乃亜さんが真剣な雰囲気で僕の肩に手袋をつけている手を置いてきた。
「……乃亜さん」
「現場の処理は我々に。ひとまず、警察病院へ行きましょう。下手な病院よりよっぽどいいはずです」
「……お願いします」
成人手前とは言っても……僕はまだまだ子どもと変わりないのだろう。翠羽に起こったことひとつで、ここまで心を乱しかけてしまったのだから。
とにかく、翠羽の安全が第一なので……十二神将らには、学校の校舎への処理を手伝うように頼み。僕らは乃亜さんのパトカーで警察病院へ行くこととなった。
すぐ近くとは言えど、その短い距離の中でも翠羽がうめくのに対して、僕の中の焦りはどんどん膨らんでいくのだった。
慌てて受け止めたが、彼女はずっと苦しんでいるばかり。
何か術を受けたのか?
その兆候はなかったのに、術を放ったことでかえってきたのだろうか?
どちらにしても、よくはない。
早く……早く処置してあげないと。
「落ち着いてください、国綱さん」
肩に手を置かれたので振り返れば……透明人間なので顔はないが、乃亜さんが真剣な雰囲気で僕の肩に手袋をつけている手を置いてきた。
「……乃亜さん」
「現場の処理は我々に。ひとまず、警察病院へ行きましょう。下手な病院よりよっぽどいいはずです」
「……お願いします」
成人手前とは言っても……僕はまだまだ子どもと変わりないのだろう。翠羽に起こったことひとつで、ここまで心を乱しかけてしまったのだから。
とにかく、翠羽の安全が第一なので……十二神将らには、学校の校舎への処理を手伝うように頼み。僕らは乃亜さんのパトカーで警察病院へ行くこととなった。
すぐ近くとは言えど、その短い距離の中でも翠羽がうめくのに対して、僕の中の焦りはどんどん膨らんでいくのだった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。

断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

ロボ娘「愛朔さん」は生き残りたいっ!~ロボバレするとスクラップにされるのでバレないよう女子高生やります!~
あさままさA
キャラ文芸
私、愛朔は人間と遜色ない見た目をしたロボットです。博士から高校三年間、ロボットであることを誰にも知られず生活することを言い渡されてこの春から女子高生となりました。
なので、できれば誰とも関わらず平穏に暮らしたい。
しかし、クラスメイトの姫崎さんはどうも私の正体に気付きつつあるようで、毎日ロボットだと証明するべく絡んでくるのです。
例えば……、
「愛朔さん、背中にマグネットついてる。取ってあげるよ」
「あ、すみません。感謝です」
「……糸屑ついてる感覚でやり取りしてるけど、そこはいいの?」
「あ、しまった! 人間は体に磁石つかないですね!」
「やっぱりロボットじゃん」
「いやいや、ロボットじゃないんですよ!」
という感じですが、私は華麗に姫崎さんの言葉をいなします。
そんなわけで姫崎さんに絡まれた私はロボバレしないよう彼女の追及を逃れる日々。やがて、姫崎さん以外にも私と交流を持つ人間が増え、望んだ平穏はどこへやら……。
私は本当に三年間、ロボットだということを隠しきれるのでしょうか!?
※毎日一話ずつ更新します!(たぶん)
※基本一話完結の日常コメディー、たまにストーリーが進んでいきます。
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。
ハードボイルド探偵・篤藩次郎(淳ちゃん)
黒猫
キャラ文芸
ハードボイルドとは何か。その定義を教えてやろう。
それはズバリ、酒と女だ。
ちなみに俺は、どっちも弱い。
というか、そういうのは仕事には持ち込まないモンだからな、むしろ弱くて良かった。つくづく、そう思う。
そしてこれは、我がハードボイルド探偵事務所に舞い込んだ妙な依頼と、それを見事に解決したハードボイルドな俺と由紀奈の大活躍の記録の数々だ。
ああ、由紀奈というのは従姪で、口の悪い、俺の助手だ。
致死量の愛と泡沫に+
藤香いつき
キャラ文芸
近未来の終末世界。
世間から隔離された森の城館で、ひっそりと暮らす8人の青年たち。
記憶のない“あなた”は彼らに拾われ、共に暮らしていたが——外の世界に攫われたり、囚われたりしながらも、再び城で平穏な日々を取り戻したところ。
泡沫(うたかた)の物語を終えたあとの、日常のお話を中心に。
※致死量シリーズ
【致死量の愛と泡沫に】その後のエピソード。
表紙はJohn William Waterhous【The Siren】より。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる