【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

文字の大きさ
上 下
166 / 206

第165話 研ぎ澄ます

しおりを挟む

 動きを止めて。


 流れを強くして。


 一撃で、仕留められるように……呪を唱え、練りに練り。


 国綱くつなさんが足止めをしている最中に、私は私の中にある時蟲ときむしの力を呼応させました。


【​──呼んで】

【────呼んで、呼んで】

【貴女のため、呼んで呼んで】

【あれは居てはいけない……いけないんだ】


 騒いでいます。時蟲が。

 何かを教えようとしてくれています。あの男がどのような存在であるのかを。

 今ここで、止めなくては。

 この学校だけでなく、多くの存在を失ってしまうかもしれません。屠られた先生達だけでなく、来ていない生徒だけでなく、より多くの存在が。

 そんな哀しいことはさせません。

 私や国綱さんが両親を失った……それ以上のことを、もう誰にも味わって欲しくないのです!


【────呼んで呼んで】

【我らは蟲】

【蠢くモノ、存在するモノ】

【対抗するモノとして、あれと貴女との繋がりを逆に使う】

【止めて止めて】



 私の身体を、バラバラにした張本人。

 その記憶は、今もなお蘇りませんが。

 今はその時ではありません。

 あの男を……止めるまでです!!

 術が完成したら、私は国綱さんの前に出て、白虎さんから跳躍し……男のいる場所に向かって、力を放ちました!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

星詠みの東宮妃 ~呪われた姫君は東宮の隣で未来をみる~

鈴木しぐれ
キャラ文芸
🌸完結しました!🌸平安の世、目の中に未来で起こる凶兆が視えてしまう、『星詠み』の力を持つ、藤原宵子(しょうこ)。その呪いと呼ばれる力のせいで家族や侍女たちからも見放されていた。 ある日、急きょ東宮に入内することが決まる。東宮は入内した姫をことごとく追い返す、冷酷な人だという。厄介払いも兼ねて、宵子は東宮のもとへ送り込まれた。とある、理不尽な命令を抱えて……。 でも、実際に会った東宮は、冷酷な人ではなく、まるで太陽のような人だった。

今世ではあなたと結婚なんてお断りです!

水川サキ
恋愛
私は夫に殺された。 正確には、夫とその愛人である私の親友に。 夫である王太子殿下に剣で身体を貫かれ、死んだと思ったら1年前に戻っていた。 もう二度とあんな目に遭いたくない。 今度はあなたと結婚なんて、絶対にしませんから。 あなたの人生なんて知ったことではないけれど、 破滅するまで見守ってさしあげますわ!

ハードボイルド探偵・篤藩次郎(淳ちゃん)

黒猫
キャラ文芸
 ハードボイルドとは何か。その定義を教えてやろう。  それはズバリ、酒と女だ。  ちなみに俺は、どっちも弱い。  というか、そういうのは仕事には持ち込まないモンだからな、むしろ弱くて良かった。つくづく、そう思う。  そしてこれは、我がハードボイルド探偵事務所に舞い込んだ妙な依頼と、それを見事に解決したハードボイルドな俺と由紀奈の大活躍の記録の数々だ。  ああ、由紀奈というのは従姪で、口の悪い、俺の助手だ。

ロボ娘「愛朔さん」は生き残りたいっ!~ロボバレするとスクラップにされるのでバレないよう女子高生やります!~

あさままさA
キャラ文芸
 私、愛朔は人間と遜色ない見た目をしたロボットです。博士から高校三年間、ロボットであることを誰にも知られず生活することを言い渡されてこの春から女子高生となりました。  なので、できれば誰とも関わらず平穏に暮らしたい。  しかし、クラスメイトの姫崎さんはどうも私の正体に気付きつつあるようで、毎日ロボットだと証明するべく絡んでくるのです。  例えば……、 「愛朔さん、背中にマグネットついてる。取ってあげるよ」 「あ、すみません。感謝です」 「……糸屑ついてる感覚でやり取りしてるけど、そこはいいの?」 「あ、しまった! 人間は体に磁石つかないですね!」 「やっぱりロボットじゃん」 「いやいや、ロボットじゃないんですよ!」  という感じですが、私は華麗に姫崎さんの言葉をいなします。  そんなわけで姫崎さんに絡まれた私はロボバレしないよう彼女の追及を逃れる日々。やがて、姫崎さん以外にも私と交流を持つ人間が増え、望んだ平穏はどこへやら……。  私は本当に三年間、ロボットだということを隠しきれるのでしょうか!? ※毎日一話ずつ更新します!(たぶん) ※基本一話完結の日常コメディー、たまにストーリーが進んでいきます。

処理中です...