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第165話 研ぎ澄ます
しおりを挟む動きを止めて。
流れを強くして。
一撃で、仕留められるように……呪を唱え、練りに練り。
国綱さんが足止めをしている最中に、私は私の中にある時蟲の力を呼応させました。
【──呼んで】
【────呼んで、呼んで】
【貴女のため、呼んで呼んで】
【あれは居てはいけない……いけないんだ】
騒いでいます。時蟲が。
何かを教えようとしてくれています。あの男がどのような存在であるのかを。
今ここで、止めなくては。
この学校だけでなく、多くの存在を失ってしまうかもしれません。屠られた先生達だけでなく、来ていない生徒だけでなく、より多くの存在が。
そんな哀しいことはさせません。
私や国綱さんが両親を失った……それ以上のことを、もう誰にも味わって欲しくないのです!
【────呼んで呼んで】
【我らは蟲】
【蠢くモノ、存在するモノ】
【対抗するモノとして、あれと貴女との繋がりを逆に使う】
【止めて止めて】
私の身体を、バラバラにした張本人。
その記憶は、今もなお蘇りませんが。
今はその時ではありません。
あの男を……止めるまでです!!
術が完成したら、私は国綱さんの前に出て、白虎さんから跳躍し……男のいる場所に向かって、力を放ちました!
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