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第164話 目の前の出来事②

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 助け……なので、しょうか。

 私や、国綱くつなさんが絶望に堕とされたと思った時に。

 私達の前に、青い綺麗な光がほとばしり……男性体の姿となったのです。

 その男性体は、見覚えがあるような後ろ姿でしたが……いつのまにか、手にしていた剣のようなもので、あの男の方に斬りかかっていきました。

 当然、男は瞬時に術か何かでつくり出した武器で受け止めていましたが……男性体の勢いは負けていませんでした。何故、あの男性体はあの男に斬りかかっているのでしょう?

 私達の……味方、でしょうか?


「……こ、の……!?」

『あの子達の未来を一度奪ったのは俺もだが……これ以上はさせない』


 男性体の言っている意味が、よくわかりませんでした。

 奪った?

 私の未来を?

 けど、助けてくださる……意味がわかりません。

 ですが、あの男の方が危険であることには変わりありません。

 頬を自分で叩き、気を引き締めて……私は|時蟲《とき
 むし》の能力をさらに発動させます。


【……止まれ、止まれ!】


 狙うはあの男と屍鬼を。

 男性体にはもう少し頑張ってほしいですが、影響を多少は受けたのか動きが鈍りました。しかしながら、男と屍鬼とは違って動くことは出来ました。

 だから。


『……これまでだ!』


 男の胸に剣を突き刺し、血が大量に溢れ出てくると思ったのですが。埋まっただけで、体液などは何も出てきません。

 ただ、上で高笑いが聞こえたかと思えば……あの男は宙いに浮かんでいました。


「甘いな! まだまだ」


 つまり、男性体が刺したのは身代わり。屍鬼はどうでも良い存在だから。

 すぐに私は次の術を発動しようとしましたが、いきなり男が苦しみ出しました。


「ぐっ!? がっ!!」

「……甘いのはお前だ!」


 国綱さんも切り替えが出来たのか、何か印を組んで術を発動したようです。背中しか見えていませんが、先ほど同じように弱くなった気力は感じられません。


(流石です!)



 であれば、私ももう少し力を練った術を放ちましょう!

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