【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

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第158話 止めるべき②

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 膨れ上がっていく。

 僕と翠羽みはねの術が、僕の持つ蘇芳すおうの光と同じ色に包まれ……どんどん膨れ上がっていく。

 身体と記憶と力が戻ったばかりの翠羽とは全然違う。

 日常を少しずつ取り戻し、むーらから受け取ったものを日々噛み締めるように生きて。

 僕の隣に立ってくれているんだ。

 だから、共に術を行使することが出来る。

 あの男の好き勝手にはさせない。

 この子の邪魔をすることを増やしていくのなら、僕は何度も立ち向かって対処していく。

 屍鬼しきであろうが、何であろうが。

 未熟な蘇芳の宿主でも、僕は一人じゃない。

 翠羽がいる。

 時間稼ぎしてくれている、十二神将だっているんだ。

 他の対処にも、乃亜のあさん達も駆けつけてくれているんだ。

 だから、出来る事をすべきなのだ。

 あの屍鬼を消滅させても、あの男はまた何かしてくるだろうが。

 今は今だ。翠羽の学校をめちゃくちゃにしてまで、彼女の日常を崩す者であるならば。

 僕だって、怒りが沸いてくる。

 その感情が呼応してしまったのか、術がさらに膨れ上がり……屍鬼に向かって飛んで行ったのだった。
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