【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

文字の大きさ
上 下
157 / 206

第156話 神将らの足止め

しおりを挟む
 我らが、どこまで押し留められるかわからない。

 しかし、我らも向かわねば……主らが、術を完成させることは出来ないのだ。


『…………やるしかないな。朱雀よ』

『…………そうだな。騰蛇とうだ


 火の闘将としては同じ属性ではあるが、部類が違う十二神将。我は神をも殺せる焔を持つが、騰蛇は地獄の焔を司る。質としては、どちらも恐ろしいが……騰蛇のを受けたら、死よりも恐ろしい目に遭うだろう。

 それはさておき、眼下で起きている事態だが。

 我らが対処しても、膿だったものは主が術を放ったのに『屍鬼しき』として膨れ上がった。厄介極まりない存在となってしまったのだ。甚だ面倒極まりない。

 だが、我らの呪力で対処しようにも騰蛇の焔ですら掠った程度にしかならないとは。これの大元は、余程主や許嫁殿らを狙っているのだろう。

 そんなことはさせぬが、式神程度の我らでは防げるのも限度がある。せめて、主らの呪が完成するまでの時間稼ぎをせねば!!


『主らへは、近寄らせん!』


 騰蛇は腕を振り、同時に黒炎を放ったのだが……屍鬼に当たっても、表面を炙った程度だ。地獄の焔ですら、この程度でしかないのか。

 別方向から、他の十二神将らが術を放っても屍鬼は唸りもなにもなかった。

 平安の頃より、最強と謳われていた我らでも……無力に等しいのか。此奴の前では。


(……だが、なにもしないよりは良い!)


 我も白炎を奮い、少しでも足止めのために動いた。白虎の背で術を研ぎ澄ましていらっしゃる主らのためにも、少しでも時間稼ぎのために!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

完結 愛のない結婚ですが、何も問題ありません旦那様!

音爽(ネソウ)
恋愛
「私と契約しないか」そう言われた幼い貧乏令嬢14歳は頷く他なかった。 愛人を秘匿してきた公爵は世間を欺くための結婚だと言う、白い結婚を望むのならばそれも由と言われた。 「優遇された契約婚になにを躊躇うことがあるでしょう」令嬢は快く承諾したのである。 ところがいざ結婚してみると令嬢は勤勉で朗らかに笑い、たちまち屋敷の者たちを魅了してしまう。 「奥様はとても素晴らしい、誰彼隔てなく優しくして下さる」 従者たちの噂を耳にした公爵は奥方に興味を持ち始め……

学校1のイケメンが俺のハーレム化計画を邪魔してくる

山田空
キャラ文芸
過去を振り返りながら俺はたくさんの女性と恋人になる 学校一のイケメンだったはずが俺よりイケメンなやつが現れてハーレムを奪われた。 そのはずなのになぜかそのイケメンが俺に近づいてくる。 「おいごらお前は俺のことが嫌いだったはずだろ」 でも実は女の子で俺のことが好きでした。 「ぼく以外のことは見ないでいてくれるよね?」 ヤンデレだったイケメンから俺は逃げる。 なんでって?そりゃ怖いからだよ

あなたは嘘をついています

JUN
キャラ文芸
 望月家には3つの掟がある。望月兄弟は男ばかりのイケメン三兄弟。優しくて頼れる弁護士、明るくて正義感に溢れた保育士、頭が良くてクールで特殊能力故に人嫌いな優等生の学生。助け合いながら、掟のもと、その特殊能力を利用して、両親の死の真相に近付こうとしている。

ワケありなのに、執事がはなしてくれません!? ~庶子令嬢は、今日も脱出を試みる~

若松だんご
キャラ文芸
 ――お迎えに上がりました。ティーナお嬢さま。  そう言って、白い手袋をはめた手を胸に当て、うやうやしく頭を下げたアイツ。アタシのいた寄宿学校に、突然現れた見知らぬ謎の若い執事。手にしていたのは、兄の訃報。8つ年上の、異母兄が事故で亡くなったというもの。  ――亡き異母兄さまに代わって、子爵家の相続人となりました。  え? は? 女子の、それも庶子だったアタシが?  兄さまは母を亡くしたアタシを妹として迎え入れてくれたけど、結局は庶子だし。兄さまのお母さまには嫌われてたからこうして寄宿学校に放り込まれてたアタシが? 下町育ちのアタシが? 女子相続人? 子爵令嬢として?  ――つきましては、この先ともに子爵家を守り立ててゆける伴侶をお探しください。  いや、それ、絶対ムリ。子爵家ってオマケがついても、アタシを選んでくれる酔狂なヤツはいないって。  なんて思うアタシの周り。どうやらいろいろ狙われてるみたいで。海に突き落とされそうになったり、襲われたり。なんだかんだで命が危ない。  アタシ、このままじゃ殺される? なんかいろいろヤバくない? 逃げたほうがいいんじゃない?  「どうしましたか、マイ・レディ」  目の前で優雅に一礼するこの執事、キース。コイツが一番怪しいのよねえ。 ※ 2024年1月に開催される、「第7回キャラ文芸大賞」にエントリーしました。コンテストでも応援いただけると幸いです。

処理中です...