【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

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第135話 翠羽の食欲①

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 ボーリングは延長せずに、1ターンだけで終わりました。

 理由はとても簡単ですね。私のお腹が限界を迎えたのです。

 国綱くつなさんの勝利で終わったゲームなのですが……終わったと同時に、私のお腹が『きゅー』と大きな音を出したのです。


「…………」

「くくく。可愛いね?」

「…………可愛くありません」


 非常に恥ずかしいです。幽体化だった時とは違って、きちんと身体が機能している証拠だとはいっても。好きな方の前で、恥ずかしいものを聞かせてしまったのですから……穴があったら入りたい気持ちでいっぱいです。

 なので、ボーリングは終わらせて、少し早いですがお昼ご飯を食べることになりました。同じ施設内にフードコートがあるので、そこに行くことになりました。


翠羽みはね、何食べたい?」


 お金の管理は基本的に国綱さん持ちですので、私はお言葉に甘えるだけです。

 お小遣いの方は両親の遺産から少しずつ切り崩しているのですが、ほんの少しです。高校生ですし、あまり大金を持ってもいけませんから。


「……あの、いいですか?」

「遠慮はいいよ。言ってごらん?」

「…………あの。あのハンバーガーが食べたいです」


 指を向けたところには、デカデカとポスターに『十段チーズバーガー』と書かれていました。

 記憶がなかった頃は気にしていませんでしたが、今は元通りとなった私はそうではありません。お肉にチーズ、それがハンバーガーとなれば……食べたい欲求が出て来てしまいました。

 国綱さんは、ちょっとだけ苦笑いされましたが。


「いいよ。行こうか」


 と言って、手を出してくださったので……私は頷き、そっと乗せましたとも!
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