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第131話 デート②
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目指しているものと、それをコントロール出来る力は違うと思います。
異能もそれに部類分けされるかもしれません。だからこそ、目的を見誤ってはいけないのです。それを目指し、私は手にしていたものを目標物に向けて投げました。
カコーン。
当たったのは当たったのですが、乾いた音が軽く鳴っただけでした。
「……久しぶり過ぎて、難しいです」
カッコつけようと色々考えていましたが、ボーリングは久しぶりのこともあって、倒せたピンもたったの二本。国綱さんはその前にストライクを決めましたのに、私は全然ダメです。ポンコツです……。
「力み過ぎだと思うよ。思いっきり力を解放してみたら?」
アドバイスはくださるのですが、ところどころざっくりしている部分もあるので、コツが掴みにくいです。男性と言うこともあり、パワーは格段に上ですから勢いだけでも可能にしてしまうのでしょうが。
(思いっきりですか……)
たしかに、慎重になってパワーがあまり出ていないボールしか投げれていません。であれば、もう少し乗せても大丈夫のはず。
二回目の時には、戻ってきたボールでもう一度投げてみました。今度は強めに!
「お」
「あ」
スペアまではいきませんでしたが、だいぶ倒れました!
嬉しくなって、国綱さんのところに行きますと両手を出してくださったので、すぐにハイタッチしました。
「やったね」
「出来ました!」
「翠羽はコントロールの加減が分かれば、出来る子だよ」
「……子ども扱いしてません?」
「まさか。僕の可愛い人だよ」
「~~!」
完全に二人きりでないとは言え、さらっとときめく台詞を言う方です。心臓に悪いです! けど、嫌では……ありません。
「ふふ。嬉しい?」
そして、私の心を読んだかのような台詞もずるいです。蘇芳を使ったからかもしれませんが、瞳の色は能力の名前と同じように赤く綺麗に輝いているだけです。あれは……能力は使っていないのでしょう。
「……嬉しい、です」
だから私も、思った言葉を素直に口にしました。ハイタッチした手を離すと、国綱さんに頭をぽんと撫でられました。
「じゃあ、僕もさらにかっこいいところを見せなくちゃ」
これ以上、私をときめかせてどうするのでしょう。
もっともっと、好きになってしまうじゃないですか。
学校のことも、事件のこともどれも未解決ですのに……こんなにも、幸せでいいのでしょうか?
異能もそれに部類分けされるかもしれません。だからこそ、目的を見誤ってはいけないのです。それを目指し、私は手にしていたものを目標物に向けて投げました。
カコーン。
当たったのは当たったのですが、乾いた音が軽く鳴っただけでした。
「……久しぶり過ぎて、難しいです」
カッコつけようと色々考えていましたが、ボーリングは久しぶりのこともあって、倒せたピンもたったの二本。国綱さんはその前にストライクを決めましたのに、私は全然ダメです。ポンコツです……。
「力み過ぎだと思うよ。思いっきり力を解放してみたら?」
アドバイスはくださるのですが、ところどころざっくりしている部分もあるので、コツが掴みにくいです。男性と言うこともあり、パワーは格段に上ですから勢いだけでも可能にしてしまうのでしょうが。
(思いっきりですか……)
たしかに、慎重になってパワーがあまり出ていないボールしか投げれていません。であれば、もう少し乗せても大丈夫のはず。
二回目の時には、戻ってきたボールでもう一度投げてみました。今度は強めに!
「お」
「あ」
スペアまではいきませんでしたが、だいぶ倒れました!
嬉しくなって、国綱さんのところに行きますと両手を出してくださったので、すぐにハイタッチしました。
「やったね」
「出来ました!」
「翠羽はコントロールの加減が分かれば、出来る子だよ」
「……子ども扱いしてません?」
「まさか。僕の可愛い人だよ」
「~~!」
完全に二人きりでないとは言え、さらっとときめく台詞を言う方です。心臓に悪いです! けど、嫌では……ありません。
「ふふ。嬉しい?」
そして、私の心を読んだかのような台詞もずるいです。蘇芳を使ったからかもしれませんが、瞳の色は能力の名前と同じように赤く綺麗に輝いているだけです。あれは……能力は使っていないのでしょう。
「……嬉しい、です」
だから私も、思った言葉を素直に口にしました。ハイタッチした手を離すと、国綱さんに頭をぽんと撫でられました。
「じゃあ、僕もさらにかっこいいところを見せなくちゃ」
これ以上、私をときめかせてどうするのでしょう。
もっともっと、好きになってしまうじゃないですか。
学校のことも、事件のこともどれも未解決ですのに……こんなにも、幸せでいいのでしょうか?
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