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第126話 自由にならない?
しおりを挟む『時蟲の勘には従った方が良いですからね? 復学は無理になさらないのがよろしいかと』
乃亜さんとのビデオ通話で、乃亜さんのお姿は透明人間なため見えませんが……声が固いものだとよくわかりました。やはり、伺って正解でした。
「とりあえず、今の生活を続けた方が?」
『ええ。しかし、外はおひとりで出歩かない方が良いかと』
「……わかりました」
自由に出来ない。
でも、仕方がありません。
あの男が何を仕掛けてくるのか……全く読めませんから、無闇に動けないのです。昨夜の失敗もありますので、術も下手に使えないのですから。
『しかし、ずっと引きこもりは翠羽さんもお辛いでしょう? 国綱さんとなら、多少のお出かけは大丈夫ですよ』
「え?」
「……デートしても?」
「ででで、デート!?」
『ふふふ、そうですね? そういうことです』
身体をバラバラにされた以前も、出かけることは度々ありました。しかし、デートと呼んでよいか微妙な立ち位置でした。お互いの気持ちを、まだ曖昧にしていた時期でもあったので。
ですが、今は違います。私達はきちんと思い合っている仲なのですから。
乃亜さんが嬉しそうに肩を震わせていますと、国綱さんは苦笑いされました。
「では、有意義に使います」
『そうしてください。良い時間にするのがあなたのお役目ですよ?』
「もちろんです」
などと、お話が進んでいき……通話は終わってしまって、私はぽかーんとすることしか出来ませんでした。
「……え?」
結局、私は待機と言うよりも……空いた時間を国綱さんとたくさん過ごすことが決定してしまったようです。国綱さんは、私の方に顔を向けるとニコニコされていました。
「翠羽、遊びに行こう」
手を差し出し、私を導いてくださいました。
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