【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か？〜

第121話 失いたくない

　嫌な感じがするのです。

　学校ですが。

　在籍している限り、復学した方がいいとは思いますが。

　あの薄気味悪い男の登場から……何か、良くない胸騒ぎがするのです。

　私だけでなく……国綱くつなさんへも。

　危険が起きてからでは遅いです。

　私達が……これ以上引き離されるのは、もう嫌なんです。

　両親を失い、友も失った……国綱さんをおひとりにしたくありません。

　私も……国綱さんと一緒にいたいです。

　国綱さんは言ってくださいました。私への想いを。

　だから……私も応えます。

　応えたいんです。

　私も家族と友を失いましたが……国綱さんは唯一無二なのです。

　絶対に離れたくありません。

　記憶と身体を失い……彼をひとりぼっちにしてしまった、あの辛い環境にはもうなりたくありません。

　だから……時蟲ときむしの警告には素直に従います。

　私はお風呂を終えてから……髪がまだしっとりしている間に、部屋の中央で印を組み、正座で腰掛けました。


【……見つけろ】


　探索して……あの男の原因を掴み取るのです！！

　国綱さんにも、私にも思い通りにはさせません！！

　呪と印の間から……蒼い糸が出て、伸びていきましたが。

　部屋でパタリと倒れ、それ以上は伸びませんでした。