【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

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第117話 確かめたい②

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 何故……それが残っているのか。

 私には、全然わかりませんでした。

 国綱くつなさんに振り返っても、全然わからないと首を横に振られるだけでした。何でも屋でさえ、この回答。

 ですと、日の浅い私ではなおさら分かりません。


「……どうして、でしょう?」

「俺にもさっぱりだ。だが、核二つともここにある」

「……私は何を?」

蘇芳すおうの坊主に頼んでもいいと思ったが……取り出したのは嬢ちゃんだって聞いたからなあ? 頼めるか?」

「……わかりました」


【戻す】よりは。

【見せろ】の方がいいかもしれません。

 時蟲ときむしの能力の使用は……端的な言葉で発動することがほとんどの異能力です。

 お母さんだと、無詠唱で出来ましたが……宿主が変わって日の浅い私では難しいです。

 だから……その核がどのような状態に変わるかもわかりません。

 あの土くれの上に置き……皆さんには、少し離れていただきました。


「……【見せろ】」


 残った意味を。

 もし、私達に伝えたいのであれば。

 見せてください。

 その本意を。

 力を核に送っていくと……核自体が青く光り始め。

 二つがひとつとなり、薄青の幽体のようなものが出来上がりました。

 薄気味悪い笑みを浮かべた……男性に。


『戻ったか? 時蟲の娘』


 ケラケラと笑いながら……その男性は、下にある核を掴み砕いてしまったのだ!?


「何を!?」

『ふ……いずれわかる。戻った意味を』


 とだけ告げ……彼は消えてしまいました。

 つまり……彼は遠隔操作で、あの核を砕いたのでしょう。


「……お役に立てませんでした」


 大事な証拠品を……結局壊す結果にしてしまいました。

 ですが、後ろにいた燐音りんねさんには『大丈夫』だと言ってくださいました。


「ありゃ、似せた偽物だ」

「……え?」


 服のポケットから……燐音さんは、また二つの核を取り出してくださいました。

 ですが、次は合わせることはやめました。
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