117 / 206
第116話 残ったもの
しおりを挟む
警察署に到着する手前では……さすがに恥ずかしいので手を離しましたが。
乃亜さんがちょうどいらっしゃったので、見られてしまいました。
「お元気そうでなによりです」
まだ数日前の出来事ですが……少し遠い過去のように思えました。
乃亜さんとも、小さな頃からのお知り合いでしたのに……国綱さんと同じように思い出せませんでした。
乃亜さんは透明人間なのでお顔は見えませんが……雰囲気から、私へ『おかえりなさい』と言ってくださるように見えます。
今日は手袋をなさっていたので、差し出された手に握手しました。手袋越しですが、とても温かく感じました。
「はい。大丈夫です。……今日は何を?」
「鑑識の燐音さんの補助を。どうやら、彼らの残った土くれの成分がわかったのです」
「「成分??」」
国綱さんと一緒に、あの牢屋へと案内していただくと……ずんぐりとした男性が色々作業をしていました。
覚えています。
たしか……ドワーフの燐音さん?
「おぅ。来たか」
燐音さんは私達を見ると、ここで最初にお会いした時よりお元気がなさそうでした。
「……どうも」
「こんにちは」
挨拶をすれば、こちらに来いと手招きされました。
あの土くれはまだ残ったままで……どれが二人のパーツだったかわからない状態です。
「嬢ちゃん。こいつらをもう『戻せ』ないって聞いたが」
「……はい」
それは事実ですので……頷きました。
すると、燐音さんは白い手袋に握ったものを差し出してきました。
「……これは、崩れなかった」
それは……ビー玉のように、綺麗な青の球。
私が彼らから取り出した……隷属の核でした。
何故、それは残っているのでしょう!?
乃亜さんがちょうどいらっしゃったので、見られてしまいました。
「お元気そうでなによりです」
まだ数日前の出来事ですが……少し遠い過去のように思えました。
乃亜さんとも、小さな頃からのお知り合いでしたのに……国綱さんと同じように思い出せませんでした。
乃亜さんは透明人間なのでお顔は見えませんが……雰囲気から、私へ『おかえりなさい』と言ってくださるように見えます。
今日は手袋をなさっていたので、差し出された手に握手しました。手袋越しですが、とても温かく感じました。
「はい。大丈夫です。……今日は何を?」
「鑑識の燐音さんの補助を。どうやら、彼らの残った土くれの成分がわかったのです」
「「成分??」」
国綱さんと一緒に、あの牢屋へと案内していただくと……ずんぐりとした男性が色々作業をしていました。
覚えています。
たしか……ドワーフの燐音さん?
「おぅ。来たか」
燐音さんは私達を見ると、ここで最初にお会いした時よりお元気がなさそうでした。
「……どうも」
「こんにちは」
挨拶をすれば、こちらに来いと手招きされました。
あの土くれはまだ残ったままで……どれが二人のパーツだったかわからない状態です。
「嬢ちゃん。こいつらをもう『戻せ』ないって聞いたが」
「……はい」
それは事実ですので……頷きました。
すると、燐音さんは白い手袋に握ったものを差し出してきました。
「……これは、崩れなかった」
それは……ビー玉のように、綺麗な青の球。
私が彼らから取り出した……隷属の核でした。
何故、それは残っているのでしょう!?
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。

断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
致死量の愛と泡沫に+
藤香いつき
キャラ文芸
近未来の終末世界。
世間から隔離された森の城館で、ひっそりと暮らす8人の青年たち。
記憶のない“あなた”は彼らに拾われ、共に暮らしていたが——外の世界に攫われたり、囚われたりしながらも、再び城で平穏な日々を取り戻したところ。
泡沫(うたかた)の物語を終えたあとの、日常のお話を中心に。
※致死量シリーズ
【致死量の愛と泡沫に】その後のエピソード。
表紙はJohn William Waterhous【The Siren】より。
お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………
ブラックベリィ
キャラ文芸
俺、神咲 和輝(かんざき かずき)は不幸のどん底に突き落とされました。
父親を失い、バイトもクビになって、早晩双子の妹、真奈と優奈を抱えてあわや路頭に………。そんな暗い未来陥る寸前に出会った少女の名は桜………。
そして、俺の新しいバイト先は決まったんだが………。
ハードボイルド探偵・篤藩次郎(淳ちゃん)
黒猫
キャラ文芸
ハードボイルドとは何か。その定義を教えてやろう。
それはズバリ、酒と女だ。
ちなみに俺は、どっちも弱い。
というか、そういうのは仕事には持ち込まないモンだからな、むしろ弱くて良かった。つくづく、そう思う。
そしてこれは、我がハードボイルド探偵事務所に舞い込んだ妙な依頼と、それを見事に解決したハードボイルドな俺と由紀奈の大活躍の記録の数々だ。
ああ、由紀奈というのは従姪で、口の悪い、俺の助手だ。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる