【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

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第116話 残ったもの

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 警察署に到着する手前では……さすがに恥ずかしいので手を離しましたが。

 乃亜のあさんがちょうどいらっしゃったので、見られてしまいました。


「お元気そうでなによりです」


 まだ数日前の出来事ですが……少し遠い過去のように思えました。

 乃亜さんとも、小さな頃からのお知り合いでしたのに……国綱くつなさんと同じように思い出せませんでした。

 乃亜さんは透明人間なのでお顔は見えませんが……雰囲気から、私へ『おかえりなさい』と言ってくださるように見えます。

 今日は手袋をなさっていたので、差し出された手に握手しました。手袋越しですが、とても温かく感じました。


「はい。大丈夫です。……今日は何を?」

「鑑識の燐音りんねさんの補助を。どうやら、彼らの残った土くれの成分がわかったのです」

「「成分??」」


 国綱さんと一緒に、あの牢屋へと案内していただくと……ずんぐりとした男性が色々作業をしていました。

 覚えています。

 たしか……ドワーフの燐音さん?


「おぅ。来たか」


 燐音さんは私達を見ると、ここで最初にお会いした時よりお元気がなさそうでした。


「……どうも」

「こんにちは」


 挨拶をすれば、こちらに来いと手招きされました。

 あの土くれはまだ残ったままで……どれが二人のパーツだったかわからない状態です。


「嬢ちゃん。こいつらをもう『戻せ』ないって聞いたが」

「……はい」


 それは事実ですので……頷きました。

 すると、燐音さんは白い手袋に握ったものを差し出してきました。


「……これは、崩れなかった」


 それは……ビー玉のように、綺麗な青の球。

 私が彼らから取り出した……隷属の核でした。

 何故、それは残っているのでしょう!?
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