【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か？〜

第113話 確かめたい①

　身体が戻り。

　元の生活に戻る。

　と言うわけにはいきません。

　私の記憶。

　特に、魍魎もうりょうに捕まり……身体をバラバラにされた記憶。

　そこを、きちんと確かめなくてはいけません。

　ですが……手がかりもなにもないのです。

　おそらくですが……崩れた幹部らも含め、魍魎と言う組織は。


「……はい。はい」


　私がご飯の支度をしていると、リビングに国綱くつなさんがスマホで誰かとお話ししながら来ました。

　多分ですが、乃亜のあさんでしょうか？

　私はあとで聞くことにして、ご飯の続きを頑張りました。

　記憶が戻ってから……幽体化の時とは違い、私には料理が得意だった記憶と経験が戻りました。

　国綱さんがお好きな豆腐のお好み焼きや、揚げ焼きフライドポテトも実は私が自分のスマホで調べたレシピ。

　それを……実践してくださったのは、嬉しいです。


(……私の、無いままの記憶は)


　戻らない記憶は……そのままでいいのでしょうか？

　よく……ないと思います。

　未解決のまま、日常生活を送るのは……良くないです。

　私はきちんと向かい合いたいです。

　お母さんが……殺される前に、どうして私のために色々してくださったのかを。


「……わかりました。明日にでも」


　国綱さんのお電話が終わったのは、私が唐揚げを作り終えた時でした。

　網を乗せたバットに並べていると……国綱さんから軽いため息が。


「……乃亜さんですか？」

「……そう。明日、出来れば二人で署に来て欲しいって」

「わかりました」


　何か手掛かりを得られたのか。

　それならば、直接お聞きするまでです。

　けれど、今はご飯なので……二人でテーブルに並べてから、いただきますをしました。