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第106話 戻ったが
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警察署の中に戻ってから。
私の姿に驚かれた乃亜さんに事情を聞きました。
私が黄泉がえりをさせた、二人の存在。
元から……生きていない存在だったらしく。私と国綱さんが昇華させた膿が消滅したタイミングで……彼らは土くれとなったと。
現場を見させていただいたら……本当に土くれが固まっているだけでした。
身体と記憶が戻った今では……彼らがもうあの世に行ったことを理解しました。
【戻せ】を唱えたところで、もう難しいでしょう。
私は皆さんの前で首を横に振りました。
「……もう、出来ません」
「……そうですか。いいえ、その方が良いでしょう」
乃亜さんは、私の能力を必要以上に使わないことを望みました。
なら私も、頷くまでです。
「……はい」
「……しかし、翠羽さん。再確認させてください」
「はい?」
「本当に……翠羽さんですか?」
含みのある言い方ですが、無理もありません。
幽体化して、記憶もむーちゃんさんを通じて封印していた。
翠羽はもう、弱い私ではないのですから。
なので、私はもう一度頷きました。
「……はい。母の紅羽より、時蟲を継承した翠羽です」
服の袖をめくると……美しい蒼の模様が腕にありました。蟲を継承させた証である刺青のようなものです。
先に戻った左腕ではなく、これは右腕に。
これが先に戻れば、色々事情は変わっていたでしょうが。
冥府に旅立った、彼らを黄泉がえりさせるのはもう無理です。
蟲には軽くとも、禁忌を必要以上にしてはいけませんから。
「……そうですか。であれば、聞いても良いでしょうか? 貴女が、魍魎らに……身体などをバラバラにされたのを」
「……すみません」
「え?」
「それは……あまり、覚えていないんです」
私、母、国綱さんの能力などはきちんと覚えているのに。
肝心の、私が国綱さんの側にいられなくなって……身体などをバラけさせられた記憶。
そして、幽体化したまでの経緯は、全く覚えていなかったのです。
私の姿に驚かれた乃亜さんに事情を聞きました。
私が黄泉がえりをさせた、二人の存在。
元から……生きていない存在だったらしく。私と国綱さんが昇華させた膿が消滅したタイミングで……彼らは土くれとなったと。
現場を見させていただいたら……本当に土くれが固まっているだけでした。
身体と記憶が戻った今では……彼らがもうあの世に行ったことを理解しました。
【戻せ】を唱えたところで、もう難しいでしょう。
私は皆さんの前で首を横に振りました。
「……もう、出来ません」
「……そうですか。いいえ、その方が良いでしょう」
乃亜さんは、私の能力を必要以上に使わないことを望みました。
なら私も、頷くまでです。
「……はい」
「……しかし、翠羽さん。再確認させてください」
「はい?」
「本当に……翠羽さんですか?」
含みのある言い方ですが、無理もありません。
幽体化して、記憶もむーちゃんさんを通じて封印していた。
翠羽はもう、弱い私ではないのですから。
なので、私はもう一度頷きました。
「……はい。母の紅羽より、時蟲を継承した翠羽です」
服の袖をめくると……美しい蒼の模様が腕にありました。蟲を継承させた証である刺青のようなものです。
先に戻った左腕ではなく、これは右腕に。
これが先に戻れば、色々事情は変わっていたでしょうが。
冥府に旅立った、彼らを黄泉がえりさせるのはもう無理です。
蟲には軽くとも、禁忌を必要以上にしてはいけませんから。
「……そうですか。であれば、聞いても良いでしょうか? 貴女が、魍魎らに……身体などをバラバラにされたのを」
「……すみません」
「え?」
「それは……あまり、覚えていないんです」
私、母、国綱さんの能力などはきちんと覚えているのに。
肝心の、私が国綱さんの側にいられなくなって……身体などをバラけさせられた記憶。
そして、幽体化したまでの経緯は、全く覚えていなかったのです。
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