【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

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第82話 止め方

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 ぐるぐるから、手を後ろにがっちり捕まえられた存在。

 国綱くつなさんが、蘇芳すおうを使って捕まえていた魔法は無くなり……今度は、国綱さんが上から足で思いっきり踏まれました。


「…………何が目的だ。お前は」


 ちょっと怖いですが……国綱さんは真剣ですからね。

 私は黙って、見守っています!!


『……いれる。手に……入れる』


 声が……違います。

 左手を取り戻す時に、出会ったあの存在の声ではありません。

 もっと……低くて、耳にあまりしたくない声でした。


「……翠羽みはねをか? 魍魎もうりょう?」

『……ぎぎぎ。手に……入れる。お前も、子供も』

「その割には、あっさりこちらに取り戻せたが?」

『……ぐぐふ。違う……違う』


 違う?

 何が違うと言うのでしょう?

 記憶と知識が、ちょっとずつしか戻っていない私には……よくわかりません。

 あと……少しずつですが。

 その存在の身体が、膨らんでいるような??


「「国綱さん!?」」


 乃亜のあさんと螺子ねじさんが、同じくらいに声を上げた時です!?

 あの存在がどんどん膨らんで大きくなっていきます!?

 国綱さんは急いで離れましたが……私は。


【……止まれ】


 口と身体が勝手に動き。

 膨らんでいたその存在の動きを……魔法で止めていました。


(……何故、私は)


 どの魔法を使う時も。

 知らないのに、知っている。

 使い方も、全然知らないはずが知っている。

 自分でびっくりしましたが……国綱さん達も驚いてお口を開けていました。
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