【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

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第47話 次の敵

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 晴れたことで、『糸』が見えました。

 細かったものが……次第に、太くはっきりとしていきます。

 存在らと出会うことはありませんでしたが……あの粒のお陰で地面が大変です。国綱くつなさんはザクザクと踏んでいますが、歩きにくそうですから。

 私の足は浮いているので、その必要はありませんが。


(……もーりょーは何をしたいのでしょう?)


 私が『私』を戻さないように、色々邪魔をするみたいではありますが。

 もっと……本当に邪魔をするのであれば。

 私が再生した、あの黒い布の存在のように……殺してまで、色々調べる邪魔をするはずです。

 少し……理解とやらが戻った私はそう思いました。

 国綱さんに聞こうにも……怒ったまま、どんどん先に進まれるからです。


(……すごく、怒っていらっしゃいます)


 横顔を見ても、笑顔などはないのはもちろんですが……『怒り』がわかりやすく出ています。もーりょーらへ……私の身体を使って、お空を色々変化させたことへか。

 利用……もですが、もっと何かに怒っていらっしゃるようです。何にでしょうか?


「……あそこか」


 国綱さんが止まりました。

 先には、ぼろぼろの建物がありました。

 糸は……前のと同じように、上に向かって伸びています。

 国綱さんは私に確認も取らず、走って駆け上がりました!

 私は少し重い足を浮かせながら追いかけます!!


(お……重い)


 ただ浮かせるならまだしも……上へ持ち上げるのは、少し難しいです。

 国綱さんには追いつけず、ゆっくりゆっくりと上へ運んでいくので置いていかれます。

 私はお邪魔でしょうから、国綱さんにはその方が好都合でしょう。

 慌てず、ですが少し急いで上へ行きますと。

 私が着いた途端、思いっきり何かがぶつかる音が聞こえてきました!?


「……くっそ!」


 国綱さんです。

 壁に、思いっきりぶつかったのです!?

 血が……頭から出ていました!!


『国綱さん!?』


 私の魔法で、すぐに治そうとしましたが……国綱さんは手で『大丈夫』と伝えてきました。

 それよりも……と前を見ますと。


「ふふふ。実に中途半端ではありますが……わざわざ取り返した一部どころか、幽体まで持ってきてくださるとは!」


 話し方は、少し私と似ていますが。

 何か……嫌な感じの声ですね。こう……ねっとりしているような。

 黒ではなく……白い布で顔とかは見えません。

 彼も……もーりょー?

 そして……後ろには、私のものらしい……腕と手がありました。バラバラですが……おそらく、私の身体でしょう。


『……返してください』


 私がそう言うと、白い布は『ふふふ』と笑いました。


「逆ですよ? そちらを返していただきたい』


 私に手を向けると……私の右足が赤く光りました!?
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