【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

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第46話 阻害される

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 上から何かが降ってきました。


「……ひょう?」


 国綱くつなさんも上を見て……驚いていらっしゃいました。

 上から降ってきた……小粒の何かが、地面に当たると『コン!』と可愛らしい音を立てましたが。

 だんだんと多くなり……粒も次第に大きくなっていきます。

 私は前なら全部すり抜けたでしょうが、片方でも足が戻ったので……当たると『痛い』です。


『ひゃ!?』

翠羽みはね! とりあえずこっちへ」


 国綱さんがそう言ってくださった先は……誰もいない屋根の下でした。急いでそちらに移動して、粒は当たらなくなりましたが。


『国綱さん?』


 国綱さんは、粒のひとつを手に持ち……見つめていらっしゃいました。真剣なお顔です。


「……術で、僕らを阻害しようとしている」

『え?』

「邪魔をされたんだ。魍魎もうりょうに」

『……では』


 あの黒い布の存在と……同じようなまた別の存在が?

 私の身体を戻させないように、されていると言うことでしょうか?

 それで……こんなにも『お天気』と言うものを変えられるとは……凄いことなのでしょう。

 国綱さんも困っていらっしゃいますし。


「……甘くみられているな」


 私がどうしましょう? と聞く前に……国綱さんから、凄い声が聞こえてきました。

 いつものお優しい……穏やかな声ではありません。

 凄く……これは、怒っている声なのでしょう。

 粒を、ぐっと包んで……パンっと音を立てて握りつぶしました!?


『……国綱、さん?』

「…………利用するだなんて」


 私の声が、届いていないのでしょうか? まだ……さらに、怒っていらっしゃいました。

 なにに……と言うまでもありません。

 私の身体をバラバラにした……存在らへでしょう。

 糸は……このお天気のせいでよく見えなくなりましたし。


(……私以上に、怒ってくださいます)


 いけないことかもしれませんが……何故か、嬉しいんです。

 国綱さんがご自身ではなく……『私』のことで怒ってくださるのを。

 また、幽霊の真ん中の部分が……熱くなるのを感じてしまいます。それほど……嬉しいのかもしれません。


「……邪魔をするなら、望むところだ」


 また、強い言葉で国綱さんがそう言いますと……国綱さんは上に向かって、両手を上げました。

 すぐに、瞳と同じ光が……手の中からたくさん出てきました!?

 そして……びゅーびゅーと吹く風も!

 足に当たって……少し痛い感じはしましたが、我慢します!!


『く……つな、さん!』


 凄く怒っていらっしゃる国綱さんに声をかけても……風のせいで聞こえないのか、国綱さんはぶつぶつと何かを言っているようです。


【我がつがいの身体。失われしもの……元へ元へ、導け!! この空を晴れさせよ!!】


 最後の言葉だけ聞こえました。

 そして……その言葉通りに。

 あれだけ、粒だらけだったお天気が……元のように、真っ青になったんです!!


『国綱さん!』

「……翠羽、先に進もう」


 まだ怒ったままですが、私を呼んでくださいました!

 行きますとも!!
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