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第44話 気にしてしまう
しおりを挟む「……翠羽? そんな気にしなくていいと思うけど」
今日もお出かけです。
私のバラバラになった身体を探すためです。
ですが、私はそちらに考え事を集中出来ませんでした。
(……だって!)
縁側でいつのまにか寝ていただけでなく……国綱さんに運んでいただいたのです! 幽霊ではありますが、一部だけは身体が戻った今では……重かったでしょうに、国綱さんはまるで気にされていません。
それがどうも……私は喜んで良いかわからないのです!!
『……起こして、くだされば』
「気持ち良く寝てたんだ。いいんだよ? 身体が少しでも戻ったことで人間らしくなれば」
『……ですが』
「重くなかったって、大丈夫」
そうおっしゃって、綺麗に微笑んでくださっても!
私は!
素直に喜べません!!
『……今日はどちらに向かうのですか?』
何度繰り返しても同じことだと諦め、私は国綱さんに行き先を伺うことにしました。
すると、国綱さんは私の前で軽く指を振りました。
【……失せ物、追え】
魔法か何かでしょうか?
私の前に、光った糸の束が現れ……クルクル巻きついたかと思うと、左の手と腕に集まり。
足の時と同じように……どこかへ続くように伸びていきました。
『……これは』
「……今回は手と腕か」
国綱さんと目が合いますと、頷き合いました。
ゆっくりと、存在らの波をかき分け……先に進みます。
場所は遠いのか、進んでも進んでも糸は遠くにあります。
水晶で調べた時は……『近く』と言っていましたが、動かされたのでしょうか?
あの黒い布の存在……私が『さいせい』をしたあの存在らと似た存在らが持っていたら。
動かされても仕方がありません。
私の身体は……利用しやすいもののようでしたから。
とりあえず、追いかけることにしました。
国綱さんは置いていくことはありませんでしたが、片方とは言え足が戻ったので。完全にすり抜けて先を行くことが出来ません。
存在らは、たまに振り返って……目を丸くしたり変な声を出したりしましたが。
(……いいんです、今は)
変な存在ではあっても……私は『私』なのですから。
そして、しばらく進むと……足の時のように細い道へ糸が続くのが見えてきました。
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