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第38話 食事の注意
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ご飯と言うものは、とても良いもののようです。
私は幽霊なので、食べることは出来ませんが……『居る』と言うことで、国綱さんがおひとりでご飯を食べる雰囲気ではなくなっているようです。
いくらか、国綱さんが上機嫌でいらっしゃるようなので。
「うん。油多めで焼くとカリッとするなあ」
おこのみやきを口にされている国綱さんは、楽しそうです。
『美味しい……のですか?』
私が聞くと、国綱さんは小さく頷きました。
「この料理は、いくつか種類があるんだ。今回は置き換え……本来は小麦粉と言うので作るんだけど。カロリーとか色々気にするとこっちがいいかなって」
『……かろりー?』
「人間だけじゃなく、身体を持つ者をつくっているものはね。色々『物質』と言うものがあるんだ。それの中にカロリーも含まれる。簡単に言うと、取り込み過ぎるのを気にしてしまうんだ。生きているものは」
少し難しいお話ですが……あまり食べ過ぎもよくないというのはわかりました。じゃがいもの時もですが……国綱さんは、食べるものを気をつけていらっしゃいました。
今回もそのようなことなのでしょう。
『……色々気にしなくてはいけないのですね?』
「そう。気にし過ぎてもいけないけど。翠羽も嫌でしょ? 太っている僕とか」
『……ふとる?』
「醜い……まあ、見た目が悪いとか」
国綱さんがお美しくない状態?
それを思い浮かべてみましたが……たしかに、考えただけではうまく想像出来ませんが。
ですが、お美しくない国綱さんのお姿は……少し、いや、だいぶ嫌です。
『……お綺麗でない国綱さんは、嫌です』
「はは。ま、僕も動きとか鈍るから気をつけているけど」
そこから食べ終わるのはすぐでしたので……食器と言うものを持ってから、また台所に戻られました。お皿達を、洗うためです。
と言っても、『しょくせんき』と言う箱の中に入れるのに軽く洗うだけでしたが。
『この箱が綺麗にしてくれるんですね』
「ちょっと高いし、全部洗えるわけじゃないけどね?」
『? そう言うものですか?』
「壊れたり、傷む原因になるからね。……あとは風呂入って寝るだけだな」
『……そうですね』
さすがに、お風呂……国綱さんが、『はだか』になられるのは直視出来ませんので。別れてから、私はお庭前の縁側まで移動しました。
足が片方とは言え、少し重いので移動は大変ですが。この重みは嬉しい重みです。
お庭には……夜でも、お花などが美しく咲いています。
電灯などはありませんが、今日は空が晴れていますので……お月様と言う空に浮かんでいるモノが綺麗に地面を照らしています。お花が輝いているようにも見えました。
それを眺めるだけでも……飽きません。
ただ、立っていると足が大変なので……何とか座ってみました。いくらか、楽な気がします。
(……まだまだ、身体も記憶も全然戻っていませんが)
他の存在……国綱さんや、知り合えた皆さんのお役に立てているようであるのなら。
明日もまた、頑張ろうと思えます。
こう言うのを意気込みと言うのでしょうか。
決めた、と考えていると……見上げた時に、お月様が目に入り。
その輝きが……急に赤くなった途端。
私は、目を逸らせませんでした。
私は幽霊なので、食べることは出来ませんが……『居る』と言うことで、国綱さんがおひとりでご飯を食べる雰囲気ではなくなっているようです。
いくらか、国綱さんが上機嫌でいらっしゃるようなので。
「うん。油多めで焼くとカリッとするなあ」
おこのみやきを口にされている国綱さんは、楽しそうです。
『美味しい……のですか?』
私が聞くと、国綱さんは小さく頷きました。
「この料理は、いくつか種類があるんだ。今回は置き換え……本来は小麦粉と言うので作るんだけど。カロリーとか色々気にするとこっちがいいかなって」
『……かろりー?』
「人間だけじゃなく、身体を持つ者をつくっているものはね。色々『物質』と言うものがあるんだ。それの中にカロリーも含まれる。簡単に言うと、取り込み過ぎるのを気にしてしまうんだ。生きているものは」
少し難しいお話ですが……あまり食べ過ぎもよくないというのはわかりました。じゃがいもの時もですが……国綱さんは、食べるものを気をつけていらっしゃいました。
今回もそのようなことなのでしょう。
『……色々気にしなくてはいけないのですね?』
「そう。気にし過ぎてもいけないけど。翠羽も嫌でしょ? 太っている僕とか」
『……ふとる?』
「醜い……まあ、見た目が悪いとか」
国綱さんがお美しくない状態?
それを思い浮かべてみましたが……たしかに、考えただけではうまく想像出来ませんが。
ですが、お美しくない国綱さんのお姿は……少し、いや、だいぶ嫌です。
『……お綺麗でない国綱さんは、嫌です』
「はは。ま、僕も動きとか鈍るから気をつけているけど」
そこから食べ終わるのはすぐでしたので……食器と言うものを持ってから、また台所に戻られました。お皿達を、洗うためです。
と言っても、『しょくせんき』と言う箱の中に入れるのに軽く洗うだけでしたが。
『この箱が綺麗にしてくれるんですね』
「ちょっと高いし、全部洗えるわけじゃないけどね?」
『? そう言うものですか?』
「壊れたり、傷む原因になるからね。……あとは風呂入って寝るだけだな」
『……そうですね』
さすがに、お風呂……国綱さんが、『はだか』になられるのは直視出来ませんので。別れてから、私はお庭前の縁側まで移動しました。
足が片方とは言え、少し重いので移動は大変ですが。この重みは嬉しい重みです。
お庭には……夜でも、お花などが美しく咲いています。
電灯などはありませんが、今日は空が晴れていますので……お月様と言う空に浮かんでいるモノが綺麗に地面を照らしています。お花が輝いているようにも見えました。
それを眺めるだけでも……飽きません。
ただ、立っていると足が大変なので……何とか座ってみました。いくらか、楽な気がします。
(……まだまだ、身体も記憶も全然戻っていませんが)
他の存在……国綱さんや、知り合えた皆さんのお役に立てているようであるのなら。
明日もまた、頑張ろうと思えます。
こう言うのを意気込みと言うのでしょうか。
決めた、と考えていると……見上げた時に、お月様が目に入り。
その輝きが……急に赤くなった途端。
私は、目を逸らせませんでした。
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