【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

文字の大きさ
上 下
34 / 206

第34話 買い出しに出る

しおりを挟む
 少なからず……お役に立てました。

 あとの事は、乃亜のあさん達のお仕事だからと……私や国綱くつなさんは、お家に帰ることになりました。

 ただし、少し『お買い物』をすることになりましたが。


『んー?』


 お店、と言うものに行くのは……多分記憶を失ってからは、初めてですので……新鮮な光景ばかりです。

 色鮮やか……存在もたくさん居て……あちこち出入りが激しい場所。

 ここは、『スーパー』と言うところだそうです。


「……物珍しい?」


 国綱さんは、優しく微笑みながら……積んである赤いものをひょいっと取りました。軽いもので出来た……箱? のようなものです。


『……はい。前は違っていたかもしれませんが。ここで、なにをするんですか?』

「食材が少なくなってきたからね。だから、材料の買い出し」

『……ざいりょう?』

「食事を作るのにも、材料って言うのが大事なんだ」


 魔法では出来ないのでしょうか?

 しかし……お家で、国綱さんがお料理をされている時を思い出しても、あのオーブンとやら以外に、道具は使っていましたが……魔法はありませんでした。

 不思議です。

 でも、楽しそうです!

 しかし……今の私ではお料理を作るのも食べることも出来ません。なので、見て覚えていこうと決めました!

 国綱さんは、棚にあるものを見ながら……手に取ったりもして、箱……カゴに入れていきます。

 食材とやらも、色々なのですね? ほとんどが袋に入っています。


『今日は、なにを作るのですか?』

「んー……さっぱりだけど、辛いものも食べたいし。冷麺かな」

『……れいめん?』

「ツルツルしてて、喉越しもいいよ。辛さも自分で作れば調整出来るし」

『……お好きなのですか?』

「今日の気分ではだけど。あ、でも豆腐だけのお好み焼きもいいな」


 国綱さんも楽しそうです。

 先ほどまでいた警察署で、お仕事をされた時に比べると……とても生き生きとされていらっしゃいます。

 お仕事が悪いとは、私だけで言うことは出来ませんが。


『……両方お作りなさるのは?』


 だから、少し提案というものをしてみますと。

 国綱さんは、なぜか驚いていらっしゃいましたが。

 すぐに……笑顔になってくださいました。


「……そうだな。昼飯も食いっぱぐれているし……がっつり食べよう」


 今の驚きを……理解することは出来ませんでしたが。

 すぐに笑顔になってくださった方が嬉しかったので。

 私も……嬉しくなって、国綱さんの後に続きました。

 たくさんお買い物と言うのをされ、幾つもの袋にまとめられた食材を……国綱さんは上機嫌で持って、お家に向かうことになりました。お手伝いしたかったですが、足のみの私では落とすと言うことになり……。

 早く……せめて、手や腕が戻りたいです!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。

るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」  色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。  ……ほんとに屑だわ。 結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。 彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。 彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。

後宮の隠れ薬師は、ため息をつく~花果根茎に毒は有り~

絹乃
キャラ文芸
陸翠鈴(ルーツイリン)は年をごまかして、後宮の宮女となった。姉の仇を討つためだ。薬師なので薬草と毒の知識はある。だが翠鈴が後宮に潜りこんだことがばれては、仇が討てなくなる。翠鈴は目立たぬように司燈(しとう)の仕事をこなしていた。ある日、桃莉(タオリィ)公主に毒が盛られた。幼い公主を救うため、翠鈴は薬師として動く。力を貸してくれるのは、美貌の宦官である松光柳(ソンクアンリュウ)。翠鈴は苦しむ桃莉公主を助け、犯人を見つけ出す。※表紙はminatoさまのフリー素材をお借りしています。※中国の複数の王朝を参考にしているので、制度などはオリジナル設定となります。 ※第7回キャラ文芸大賞、後宮賞を受賞しました。ありがとうございます。

夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました

香木陽灯
恋愛
 伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。  これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。  実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。 「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」 「自由……」  もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。  ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。  再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。  ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。  一方の元夫は、財政難に陥っていた。 「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」  元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。 「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」 ※ふんわり設定です

完結 愛のない結婚ですが、何も問題ありません旦那様!

音爽(ネソウ)
恋愛
「私と契約しないか」そう言われた幼い貧乏令嬢14歳は頷く他なかった。 愛人を秘匿してきた公爵は世間を欺くための結婚だと言う、白い結婚を望むのならばそれも由と言われた。 「優遇された契約婚になにを躊躇うことがあるでしょう」令嬢は快く承諾したのである。 ところがいざ結婚してみると令嬢は勤勉で朗らかに笑い、たちまち屋敷の者たちを魅了してしまう。 「奥様はとても素晴らしい、誰彼隔てなく優しくして下さる」 従者たちの噂を耳にした公爵は奥方に興味を持ち始め……

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

学校1のイケメンが俺のハーレム化計画を邪魔してくる

山田空
キャラ文芸
過去を振り返りながら俺はたくさんの女性と恋人になる 学校一のイケメンだったはずが俺よりイケメンなやつが現れてハーレムを奪われた。 そのはずなのになぜかそのイケメンが俺に近づいてくる。 「おいごらお前は俺のことが嫌いだったはずだろ」 でも実は女の子で俺のことが好きでした。 「ぼく以外のことは見ないでいてくれるよね?」 ヤンデレだったイケメンから俺は逃げる。 なんでって?そりゃ怖いからだよ

処理中です...