【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

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第17話 まずは右足

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 国綱くつなさんがあの気味が悪い存在へと……何かをしようとしています。

 邪魔をしてはいけませんので……私はじっとしています。

 国綱さんのお顔は見えませんが、黒い布は……国綱さんの顔を見て、ひきつっているようでした。余程、国綱さんのお顔が怖いのでしょう。

 私も、国綱さんが怒っていらっしゃるのはわかりますから。


「な……ぜだ!? 何故だ何故だ!? 貴様みたいな若造が!!?」


 焦っていますね?

 それなら、『私の足』も返してくださいな。

 国綱さんのお怒りからの魔法は……止めようがありませんが。


「……なら、それを返せ」


 とっても怖い声ですが、黒い存在は国綱さんに反抗するようです。


「ならん! 我らの悲願のためにも!!」


 何やら……私の身体をバラバラにしたのは、こいつだけではないようです。意気地なしのようにも見えますが、見ていて実に不快です。

 しかしながら……国綱さんは、前に出していた両手を上に上げました。手の中には、蘇芳すおうの色と同じ光の塊がありました。


【……不適】



 また、あの低い声です。

 その声と同時に……国綱さんが手を勢いよく下ろすと。

 光が……さらに勢いよく、あの黒い布に向かって飛んで行きました!

 黒い布は避ける時間もなく、全身で受けてしまいました!!


「ぎゃああああああああああ!!?」



 嫌な声でしたが、どうやら倒れてしまったのか。

 私が国綱さんの横に立ちますと、『足』の下であの存在が倒れていました。ぷつぷつと言う音も聞こえましたが……多分、生きているでしょう。

 軽くぴくぴくと身体が震えているので、そう思いました。


『……大丈夫でしょうか?』

「一時的に動けなくさせただけだ。それよりも」


 国綱さんは、スタスタと『足』の水晶に近づき……すぐに触れてくださいました。

 水晶が割れ……国綱さんは怪我することもなく、私の足を受け止められました。

 直に見ても……私のとは思えない、綺麗な足です。


『……私、の』


 私は国綱さんの横に立つと……足の方から、白い光が出てきて……気づいたら、右足が少し重く感じました。

 見てみると、透明ではなくしっかりとした『足』があったのです。


「まずはひとつ。……こいつは、警察に届けよう」


 国綱さんはとても良い笑顔でそうおっしゃいました。

 私は、自分の足を触ろうとしてもすり抜けましたが。

 ちゃんと……自分の身体がひとつでも戻ったことが嬉しいのです!!


『はい! ありがとうございます!!』

「……良かったね」


 御礼を言いますと、国綱さんはさらに笑顔になってくださいました!

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