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33-2.悩む進路
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そう思ったのは、進路。もとい、就職希望を出すか出さないかを学生課から生徒に配られたエントリーシートについてだ。
穫も大学三年生だ。
そう言う時期なのだが、以前なら実家の食堂を継ぐことに迷いはなかった。だが、両親や祖母達からは、自分の生きたいように生きればいいと言われていたため、迷っていたのだ。
笑也と交際してからまだ一年。事件も去り、思い描いてた大学のキャンパスライフを楽しむ余裕が出てきた。
佐和以外にも友達が出来るようになってきた。
充実した生活、それに笑也は切っても切れないことがよくわかっている。
だから、穫は。
笑也にしてあげれることが日常以上にあるのか、と、そう思ってしまうのだ。
須佐達が何気なく口にした、結婚と子供について。
一番恩返し出来るのはそれではないかと。
それを笑也に話す前に、佐和に一度話したのだが。
「ダメだよ、穫?」
ちょっと、予想外に反対されてしまったのだ。
「ぶっ飛び過ぎ?」
「それもあるが、将来を『結婚』だけに決めるのも良くないと思う」
「……ダメかな?」
「大事なことだからね? 穫の一生を達川氏だけに尽くすのももったいないだろう??」
「もったいない……かな?」
「僕は、実家経由で術師として斎氏らと頑張っていくつもりだが……」
「じゃあ……」
「あ、穫はやめときたまえ? 術師としてのランクはまだまだ初心者以下だし、生業には不向きだ」
「あう……」
自衛は出来るようにと、エミ達に習い出してはいたが佐和や斎達のようにはまだまだ出来ない。八岐大蛇の時はエミの協力があって可能に出来ただけだ。
「なに、まだ一年以上あるんだ。焦らず、ゆっくり決めていくといい」
「そうだけど……」
選択肢をまたひとつ潰されるとどうしていいのかわからない、穫だった。
その日もバイトだったので、いつものように咲夜が先にいるであろう本屋に行くと。
「穫。店長からお前にこれを渡せと」
咲夜が差し出してくれたのは。
『正社員登用制度実施』。と書かれた書類だった。
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