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32-3.嫌ってた理由(須佐視点)
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嫌ではあった。
それは当然だ。
これまでのイタコ達とは違い、『男』の分際で姉神である天照大神をその身に降ろす卑しい存在。
呼び名も、女と偽っていたのをそのまま使うことになり、『エミ』と。だから、須佐はなかなか受け入れられなかった。
兄神である月詠も、いい思いは抱いていなかったようだが。
万乗に関わったことで、笑也の見解を少しずつ改めるようにはなってきた。
分家の分家でも、十束剣を宿した穫。彼女が加わったことで、須佐達も笑也をそこまで忌み嫌う意味をなくしたのだ。
八岐大蛇との決戦の際に、魂の存在になってまで穫を助けに行く。これまで、エミのイタコであった人間の女達にはなかった覚悟だ。それをわざわざ、今の笑也達に言うのは癪である。
だから、言わないだけだ。
(人間として、穫は好ましいだけだ)
どちらかと言えば、娘を見ているような感じだ。だから、笑也が将来的な夫になるのは確実なので早く子がみたいと思ったのだ。月詠によって先に言われてしまったが。
『みのりんが達川に嫁いだら~? 男でも女でもあたしを降ろせるイタコになれるはずだわん?』
「エミ? 勝手に決めないでくれる?」
『次代の達川当主でしょん?』
「そうかもしれないけど……最低穫ちゃんが大学卒業するまで!!」
『もうシてるとこはしてるのに?』
「「エミ/さん!?」」
須佐らにも、二人が親密な関係を結んだのは霊力を見れば一目瞭然だ。それに、付き合って一年以上も経つのだからそれくらいしていてもおかしくはない。
ある程度の昔とは違い、避妊とは面倒なものだ。奇稲田姫ひと筋の須佐も子が出来るまでは普通以上に貪ってしまったが。
(制約が色々面倒だな、今の現世も)
とりあえず、穫らの子供が見れるのは当分先のようだ。須佐はチーズスナックを口に入れようとしたが、いつのまにか月詠が食べ尽くしていたので、新しいものを取るのに立ち上がった。
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