イタコ(?)さんと神様は、インスタント食品がお好きだそうな?

櫛田こころ

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29-4.雷酒(羅衣鬼視点)

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 *・*・*(羅衣鬼らいき視点)








 まだ覚えたての術ではあるが。

 主人であり、人間の友人となってくれたみのりのためにも、やらずに後悔はしたくない。

 羅衣鬼は、須佐すさの前に立つと、一度跪いた。


素戔嗚尊すさのおのみこと様!」
「……羅衣鬼、か!」
「急拵えではありますが、俺が雷酒らいしゅをこいつにぶつけてみます!!」
「!? 雑鬼が故の力か……やってくれ!!」
「はっ!!」


 飛べる距離まで、羅衣鬼は身体を上昇していく。

 八岐大蛇ヤマタノオロチの身体は巨大も巨大だが、守護鬼となった羅衣鬼には大した事ではない。頂上となる頭部のところに到達すると、腕を上空に向けて呪を唱えていく。


「数多の雷光……」


 地獄ゆえに、雷光は山程ある。雷の系譜を汲んでいる羅衣鬼には、絶好の場でしかない。


「……唸れ唸れ、とこしえの雷光。我が手に宿れ、我が手に広がれ。落とせ落とせ、いかずちの酒器よ!!」


 羅衣鬼の掲げた腕の上に、赤く巨大な盃が現れる。

 その中には、地獄に降り注ぐ雷光が落とされていく。かなりの爆音だが、耳を塞いでいる場合ではない。


「轟け!! 『雷酒』!!?」


 盃が、羅衣鬼の怒号に合わせて倒れて行く。溜まっていった雷光の酒がこぼれて、八岐大蛇の頭部へと流れて行った。



【ギャァアアアアアアアアアアアアアア!!?】



 ただの酒ではない。

 雷光をたっぷりと含ませた、痺れるどころか破壊する威力を誇る強い酒だからだ。

 八つの頭部が暴れまくり、倒れろと思ったがそこまではなかったようだ。


「っくしょー!? 何度でも食らわせてやる!!」


 ここには、雷光も霊気も神力も豊富だ。

 穫達が、戦いやすいように、羅衣鬼は何度も雷酒を八岐大蛇にぶつけて行くのだった。
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