イタコ(?)さんと神様は、インスタント食品がお好きだそうな?

櫛田こころ

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26-2.神の失態(月詠視点)

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 *・*・*(月詠つくよみ視点)









 エミが察知した通り、最悪の結果のひとつが目の前で起きていた。

 阿鼻あびの地獄行きとなった、呪怨のところに八岐大蛇ヤマタノオロチの尾が行くと思うだろうか。

 しかも、奴を取り込んで力をつけるなどと。

 見つけた瞬間にエミが光の矢を放っても、もう間に合わず。

 尾は、呪怨を欠片も残さずに取り込み、須佐すさが切り裂いた時よりも、美しく人型へと変貌したのだ。


「……最悪ですね」


 万乗ばんじょうの積年の怨み辛みになどが形成した呪怨を全て取り込んだ。

 しかも、最後に十束とつかのつるぎである咲夜さくやが呪怨を落とした力も加わっている。

 つまりは、神に連なる力を得てしまったと言うこと。最悪の最悪な事態になってしまった。


「まだ取り込んだばかりよ。倒すしかないわ!!」


 姉神の方は、今だからと奴に向けて弓矢を何度も放っているが、幾度放っても亡者を消滅させるだけになってしまっている。


「姉者、あまり亡者を消滅させるな」
「だからって、あいつが避けまくんのよん!? ウザいわぁああ!!」
「今近づくのも、良策とは言えませんしね……」


 魔のものとは言え、天の者を消滅させれるとは限らない。だが、魔が魔を取り込んだ今ではどうなるか。

 尾の方は、避けながらも気味が悪いように妖しく笑っているだけだ。


「邪魔があるから、本領発揮が出来ない。……神って面倒だね?」
「なにおぅ!?」
「姉者、挑発に乗るな!?」
「なんであんたの方が冷静なのよん!?」
「俺だってムカついてる!!」


 姉と弟がこの状況では、月詠が動くしかない。足元に力を溜めていき、尾の足元に素早く移動させる。


「堕とすなら……さらに堕としましょうか?」


 黄泉の神、暦の神、月夜の神だとか様々に言われている月詠であるからこそ成せる技。

 尾が気がついた時には、奴は地獄の底の底に落ちていってしまう。

 そのような技を繰り出したのであるが。


「くふふ……? 僕にさらに力を与えてくれるだなんて嬉しいねえ?」


 落ちるどころか、浮かんだ尾は。

 溢れ出てくる陰の瘴気を取り込んでいってしまったのだ。


「兄者!?」
「月詠のアンポンタン!?」
「私も予想外過ぎですよ!?」


 これはもう、兄弟揃って唸るしか出来なかった。

 すぐに穴は閉じたが、もう遅く。尾はさらに妖しく美しくなってしまい、阿鼻から現世に向かって飛んで行った。
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