117 / 168
22-4.里芋でクリームコロッケ②
しおりを挟む
大広間はその名の通り、広過ぎる広間だった。
五人どころか、十人も余裕なくらいに。けれど、穫達しかいないので贅沢に座らせてもらうことになったが。中央に大きめのテーブルがあったので、そこで食卓を囲むことに。
エミだけは胡座を掻いて座るが、他の誰も気にはしていない。やはり、そこはエミが人間ではなく神様だからか。
ただ、食べるタイミングはエミも同じにしてくれるのか、うずうずしながら待っていてくれた。
「じゃあ、せっかくの揚げたてをいただきましょう?」
珠緒が号令をかけてくれてから、全員でいただきますをした途端、エミは真っ先にクリームコロッケにかぶりついた。
【う……まぁ!? 美味しい~~!! みのりん、ちゃんとクリームコロッケよん!!?】
「お口に合ったのなら良かったです」
「うん。美味しい」
「美味しいよ!」
「ええ」
「本当に!」
他の皆の口にも合ったようだ。ひとり俵型で四個ずつだが、エミはあっという間に食べ終えてしまうくらい。
隣にいる笑也も美味しいと箸をすすめてくれていた。その父親である明良もぱくぱくと食べてくれている。
「乳製品はほとんど使っていないのに、ちゃんとクリームコロッケだよ!? 里芋のねっとり感ももちろんだけど、ひじきととうもろこしの相性がこんなにもいいだなんて思わなかった!!」
「あ、ありがとうございます!」
そこまで褒められるとは思わなかったが、このクリームコロッケは穫の母の思い出の味だった。普通のクリームコロッケを作るのが大変だったのと、いただきもので里芋が大量に合ったために、ネットを参考にしながら作ったそうだ。
以来、穫には母親の味である。高校生になってから作り方を教わったほどだ。
「本当に。坊ちゃんの婚約者様は素晴らしいお料理の腕前をお持ちですわ!」
イネも年の割には揚げ物は食べられるようで、ぱくぱくと食べていた。相変わらず、穫を笑也の婚約者とは言っているが。
「いいわね? 大神と笑也は毎日のように、こんなにも美味しいご飯を食べれているのでしょう?」
【インスタントのアレンジも美味しいわよん?】
「あら、そうなんですの?」
【あたしが気に入っているのは、冷凍餃子でチーズタッカルビ風にしてくれたやつだわん?】
「また作りますね?」
「穫さん、簡単ですか?」
「はい、そこまで難しくはありません」
などと、女性メインで話に華が咲いてしまい。笑也と明良は食べ終えてから端に追いやられる形になって、穫達が帰るまで意気投合してしまったのだ。
本当は夕飯を食べるまで一緒にいて欲しかったようだが、自宅に戻る時間もあるので夕方前にまたイネのお菓子をいただいてから達川の屋敷を出ることになった。
「大学を出てもすぐにお嫁に来ていいわよ?」
「母さん……」
意気投合したことで、より一層珠緒には気に入られたのだった。
五人どころか、十人も余裕なくらいに。けれど、穫達しかいないので贅沢に座らせてもらうことになったが。中央に大きめのテーブルがあったので、そこで食卓を囲むことに。
エミだけは胡座を掻いて座るが、他の誰も気にはしていない。やはり、そこはエミが人間ではなく神様だからか。
ただ、食べるタイミングはエミも同じにしてくれるのか、うずうずしながら待っていてくれた。
「じゃあ、せっかくの揚げたてをいただきましょう?」
珠緒が号令をかけてくれてから、全員でいただきますをした途端、エミは真っ先にクリームコロッケにかぶりついた。
【う……まぁ!? 美味しい~~!! みのりん、ちゃんとクリームコロッケよん!!?】
「お口に合ったのなら良かったです」
「うん。美味しい」
「美味しいよ!」
「ええ」
「本当に!」
他の皆の口にも合ったようだ。ひとり俵型で四個ずつだが、エミはあっという間に食べ終えてしまうくらい。
隣にいる笑也も美味しいと箸をすすめてくれていた。その父親である明良もぱくぱくと食べてくれている。
「乳製品はほとんど使っていないのに、ちゃんとクリームコロッケだよ!? 里芋のねっとり感ももちろんだけど、ひじきととうもろこしの相性がこんなにもいいだなんて思わなかった!!」
「あ、ありがとうございます!」
そこまで褒められるとは思わなかったが、このクリームコロッケは穫の母の思い出の味だった。普通のクリームコロッケを作るのが大変だったのと、いただきもので里芋が大量に合ったために、ネットを参考にしながら作ったそうだ。
以来、穫には母親の味である。高校生になってから作り方を教わったほどだ。
「本当に。坊ちゃんの婚約者様は素晴らしいお料理の腕前をお持ちですわ!」
イネも年の割には揚げ物は食べられるようで、ぱくぱくと食べていた。相変わらず、穫を笑也の婚約者とは言っているが。
「いいわね? 大神と笑也は毎日のように、こんなにも美味しいご飯を食べれているのでしょう?」
【インスタントのアレンジも美味しいわよん?】
「あら、そうなんですの?」
【あたしが気に入っているのは、冷凍餃子でチーズタッカルビ風にしてくれたやつだわん?】
「また作りますね?」
「穫さん、簡単ですか?」
「はい、そこまで難しくはありません」
などと、女性メインで話に華が咲いてしまい。笑也と明良は食べ終えてから端に追いやられる形になって、穫達が帰るまで意気投合してしまったのだ。
本当は夕飯を食べるまで一緒にいて欲しかったようだが、自宅に戻る時間もあるので夕方前にまたイネのお菓子をいただいてから達川の屋敷を出ることになった。
「大学を出てもすぐにお嫁に来ていいわよ?」
「母さん……」
意気投合したことで、より一層珠緒には気に入られたのだった。
1
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
星詠みの東宮妃 ~呪われた姫君は東宮の隣で未来をみる~
鈴木しぐれ
キャラ文芸
🌸完結しました!🌸平安の世、目の中に未来で起こる凶兆が視えてしまう、『星詠み』の力を持つ、藤原宵子(しょうこ)。その呪いと呼ばれる力のせいで家族や侍女たちからも見放されていた。
ある日、急きょ東宮に入内することが決まる。東宮は入内した姫をことごとく追い返す、冷酷な人だという。厄介払いも兼ねて、宵子は東宮のもとへ送り込まれた。とある、理不尽な命令を抱えて……。
でも、実際に会った東宮は、冷酷な人ではなく、まるで太陽のような人だった。
初恋♡リベンジャーズ
遊馬友仁
キャラ文芸
【第四部開始】
高校一年生の春休み直前、クラスメートの紅野アザミに告白し、華々しい玉砕を遂げた黒田竜司は、憂鬱な気持ちのまま、新学期を迎えていた。そんな竜司のクラスに、SNSなどでカリスマ的人気を誇る白草四葉が転入してきた。
眉目秀麗、容姿端麗、美の化身を具現化したような四葉は、性格も明るく、休み時間のたびに、竜司と親友の壮馬に気さくに話しかけてくるのだが――――――。
転入早々、竜司に絡みだす、彼女の真の目的とは!?
◯ンスタグラム、ユ◯チューブ、◯イッターなどを駆使して繰り広げられる、SNS世代の新感覚復讐系ラブコメディ、ここに開幕!
第二部からは、さらに登場人物たちも増え、コメディ要素が多めとなります(予定)
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
懐古百貨店 ~迷えるあなたの想い出の品、作ります~
菱沼あゆ
キャラ文芸
入社早々、場末の部署へ回されてしまった久嗣あげは。
ある日、廃墟と化した百貨店を見つけるが。
何故か喫茶室だけが営業しており、イケメンのウエイターが紅茶をサーブしてくれた。
だが――
「これもなにかの縁だろう。
お代はいいから働いていけ」
紅茶一杯で、あげはは、その百貨店の手伝いをすることになるが、お客さまは生きていたり、いなかったりで……?
まぼろしの百貨店で、あなたの思い出の品、そろえます――!
苦労人お嬢様、神様のお使いになる。
いんげん
キャラ文芸
日本屈指の資産家の孫、櫻。
家がお金持ちなのには、理由があった。
代々、神様のお使いをしていたのだ。
幼馴染の家に住み着いた、貧乏神を祓ったり。
死の呪いにかかった青年を助けたり……。
神様達の転職事情~八百万ハローワーク
鏡野ゆう
キャラ文芸
とある町にある公共職業安定所、通称ハローワーク。その建物の横に隣接している古い町家。実はここもハローワークの建物でした。ただし、そこにやってくるのは「人」ではなく「神様」達なのです。
※カクヨムでも公開中※
※第4回キャラ文芸大賞で奨励賞をいただきました。ありがとうございます。※

溺愛パパは勇者!〜悪役令嬢の私のパパが勇者だった件〜
ハルン
恋愛
最後の記憶は、消毒液の匂いと白い部屋と機械音。
月宮雫(20)は、長い闘病生活の末に死亡。
『来世があるなら何にも負けない強い身体の子供になりたい』
そう思ったお陰なのか、私は生まれ変わった。
剣と魔法の世界にティア=ムーンライドして朧げな記憶を持ちながら。
でも、相変わらずの病弱体質だった。
しかも父親は、強い身体を持つ勇者。
「確かに『強い身体の子供になりたい』。そう願ったけど、意味が全然ちがーうっ!!」
これは、とても可哀想な私の物語だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる