イタコ(?)さんと神様は、インスタント食品がお好きだそうな?

櫛田こころ

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21-2.メイクの意味

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 *・*・*










 達川たちかわの家に行くことになったのは三日後。

 ちょうど、みのりの大学の講義もバイトもなく、笑也えみやも研究家の仕事が落ち着いているのでその日になった。

 服については、先日笑也が穫の誕生日に贈ったワンピースでいいから問題ないと言われたけれど。

 せめて、メイクだけは練習しようと笑也達と夕飯を食べた後、自室でメイク道具を広げた。


「……何をするんだ?」


 咲夜さくや羅衣鬼らいきと交代でお風呂に入ったようだが、相変わらず早い。烏の行水並みに早いのだ。元が人間ではないからいいかもしれないが。


「メイクの練習。あと三日だし、いつもよりは丁寧にメイクして……笑也さんのご両親にお会いしたいし」
「ふむ。心掛けはいいが。……女とは必要なものが多い」
「咲夜もしてみる?」
「私がか?」


 もともと性別がないとされている咲夜ではあるが、女性体になっているのは穫の生活のためだ。最初に出てきたのは男性寄りだったから、感覚的には男性の思考ではある。

 顔立ちは美少女だが、普段は化粧をしない。顕現している時間が家か外でもごく一部なので、する必要がないせいもあるからだ。


「咲夜の肌、すっごく綺麗だし……ね、ね? ちょっとだけ!」
「……似合わないと思うが」
「ちょっとだけ!!」
「……わかった」


 洗顔の方法は後で教えることにして、化粧水と下地を塗ってからナチュラルメイクになるように、アイシャドウや施し。

 リップはピンク。

 チークも薄めにピンク。


「でーきた!……わぉ」


 出来た途端、これは我ながら素晴らしいメイクに仕上がった。


「……これが、私か?」


 乙女らしく、女の子らしく。

 美少女がさらに美少女になってしまい、穫は抱きつきたくなる衝動を抑えた。

 こんな美少女、簡単にはお嫁に出せませんと思うくらいに。

 ただ、咲夜はメイクが初めてなので顔に塗られた感じが、少し嫌に感じたのだろう。目元を擦りたがっていた。


「咲夜、そのまま擦ると良くないから。このコットンにメイク落としの液を染み込ませて」


 ぽんぽんとせっかくのメイクを落としてしまうが、咲夜が気持ち良さそうだったのでいいと思うことにした。


「……化粧けわいは知っていたが、今の人間は色々使うのだな?」


 洗顔も教えて顔を洗ってから、咲夜が感心したように言ってくれた。


「昔のメイクってどんなだったの?」
「基本はまじないのためだ。装う意味が違うくらいなのと、美しく魅せる必要とは違う」
「そっかぁ。咲夜綺麗なのに、ちょっともったいないね?」
「そうか? とりあえず、次は穫だろう? 美しくなる様子を見せてくれ」
「うん、頑張る!」


 そして、意外と長湯の羅衣鬼がお風呂から出て来るまで、穫は咲夜とあーでもないこーでもないと、メイクの方法を色々と考えるのだった。
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