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19-1.導きの唄(???視点)

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 *・*・*(???視点)








 ああ、ああ。

 これが神々の力。

 なんと心地よい、なんと甘美だ。

 攻撃をわざと受けただけなのに、尾に力が与えられていくような感じだった。

 月読命つくよみのみことの風の刃を。

 天照大神あまてらすおおみかみの金色の矢を。

 身が裂けても、血が噴き出しても。

 尾の力は増していくばかり。

 ああ、ああ。これなら。

 みのりを手に入れられる。

 金剛刀こんごうとうも。

 だが、八岐大蛇ヤマタノオロチの本体を手に入れれば。

 もっと力は増すだろう。

 だから、歌おう。

 導きの唄を。


「我を導け……あまねく歌よ。

 導け導け、我が本体を導け」


 尾が歌い出した途端に、神々に閻魔大王の表情が変わっていく。

 ああ、ああ。

 愉快や愉快。

 さあさあ、さあさあ。

 我が本体である八岐大蛇の身体よ。

 どこだどこ。

 この地獄のどこだどこ。

 今度は神々の攻撃を避けながら。

 尾は進んでいく、阿鼻あびの地獄の中に。

 飛んで飛んで、避けて避けて。

 さあさあ、さあさあ。

 導け導け、我が死出の唄よ。

 導け導け、我が本体に。

 尾は攻撃を見ずとも避けて避けて。

 地獄の底へと進んでいくのだった。
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