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16-5.三神会議(須佐視点)
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八岐大蛇の復活。
正確には、草薙剣を宿していた尾の部分ではあるが。
須佐こと素戔嗚尊は、バーラウンジで酒を飲みながら姉神のエミと兄神の月詠と話していた。
内容はもちろん、穫や八岐大蛇についてだ。
「どーゆーきっかけで、あいつの封印が解けたかなのよねん?」
「閻魔大王に掛け合っていますが、今はまだ知らせが来ていません」
「……何故だ」
何故、八つの首を落として。
妻である奇稲田姫のために、すべてを屠って、偶然とは言え草薙剣も得た。
なのに、何故。尾が意思を持っていただけでなく、その意思を姉達が封印していたのか。
末弟である須佐に、今日まで知らせないまま。
「……あんたが役目を果たした。だから、後始末はあたし達がしたわけ」
かつて、姉の配下の女神を屠ったとは言え。罪を償った証を、姉は受け入れてくれたのだろうか。
直接は聞いていないが。
この口ぶりからだと、そうかもしれない。
「しかしながら、かなりの月日は幽世の中で封じていました。のに、呪怨を調伏し終えて……穫を狙った。これは、奴がかなり前から意識を取り戻していた証拠です」
「そうなのよねぇ? しかも、あいつみのりんを諦めるつもりは毛頭ない感じ。笑也から奪うつもりだわ~」
神体であれと対峙したエミは、尾の意識に聞いたらしい。
だが、そんなことは絶対にさせない。
死者は出してしまったが、己の血の因縁と立ち向かったあの少女を須佐もそれなりに気に入っている。
それに、エミを降ろすことの出来る男のイタコの伴侶となるのは、穫だけだ。
相愛を引き離すなど、許されるはずがない。
ましてや、須佐がかつて対峙した化け物なら尚のこと。
「姉者、兄者……俺が倒す」
「あんただけじゃないわよん?」
「なに?」
「穫のためでもあります。我らであれを消滅せねば」
「……姉者、兄者」
ただ、と月詠は手をぽんと叩いた。
「八岐大蛇の亡骸は、地獄で保管していますからね? 奴も本体を得るのに地獄に行っているかもしれないですが」
「とっとと行くわよん!!」
「応!!」
本体を得たら、余計に事態がややこしくなる。
時折、この兄神は抜けているように思えるのだった。
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