イタコ(?)さんと神様は、インスタント食品がお好きだそうな?

櫛田こころ

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16-2.次に標的にされる

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 *・*・*









 どれだけ、あの空間の中にいたかはわからないが。

 みのりは、いまだに抱きしめてくれている笑也えみやの頭をそっと撫でた。その仕草に、笑也はさらに腕の力を強めてきたので、流石に苦しくなった。

 が、穫が声をかける前に誰かが笑也の頭を叩いた。

 緩んだ腕から顔を上げれば、何故か月詠つくよみがハリセンを手にしていたのだった。


「落ち着きなさい、笑也。姉上を憑依出来る器とて、つがいの危機にももっと冷静になさい」
「ほんとほんと」


 エミも戻っていたようで、まだうずくまっている笑也の頭を軽くぽかぽかと叩いていた。

 佐和さわは、と辺りを見ればソファにもたれながら静かに眠っていた。


「佐和、ちゃん?」
「大丈夫よ、みのりん? ちょっと、離魂の術使ったから体力回復まで寝ちゃってるだけ」
「り、こん?」
「前に、みのりんのおばあちゃんが使ってたアレ」
「あ」


 そんな危険な術を使ってまで、穫はあの空間に。あの光に導かれてしまったのか。

 本当に申し訳なく思ったが、エミに軽くデコピンされてしまった。


「みのりんのせいじゃないわよん? 悪いのはあいつ。みのりんの魂を引っ張ってったあいつ」
「……あいつ?」
「姉上。姉上が行かれてから、あれ・・の残滓を調べました。やはり、彼奴あやつでしたか?」
「そうよ。全く、あんたの術に綻びが出来たんじゃないの?」
「それはないつもりでいましたが……」
「? あの……?」
「「穫!!」」


 二人の会話の意味がわからないでいると、笑也の上から咲夜さくや羅衣鬼らいきが抱きついて来た。

 当然、挟まれた笑也が潰れそうになってしまい。

 穫も押しつぶされそうになったので、慌てて二人には離れてもらった。


「……心配かけてごめんね?」
「「穫は悪くない!!」」


 息ぴったりに言い切る二人に、これは苦笑いするしか出来なかった。


「とりあえず、みのりんにも言うわ」


 月詠との話が終わったらしく、エミは穫の頭を軽くぽんぽんと撫でて来た。


「みのりんをあんな目に遭わせたのは……。八岐大蛇ヤマタノオロチの尾よ?」
「お、ろち?」
「姉者、誠か!?」


 聞いたことがあるようなないような、と首をひねっていたら。ずっと黙っていた須佐すさが声を上げたのだった。


「マジのマジ。あんたがくっしーを嫁にした後の処理を、月詠がしたんだけど。尾の部分は意思を持ってた。だから、ずっとずっと封印してたんだけど……どーゆーわけか、その封印に綻びが出来たのよん。で、なんでか狙いはあんたや月詠じゃなくてみのりん」
「……変だな」
「あいつ、言ってたわ。みのりんに相応しいのは笑也じゃなくて、自分だって」
「……なんだって!?」


 ずっと痛みに悶えていた笑也が顔を上げた瞬間。

 ちょうど穫の顎に頭が当たってしまい。

 今度は穫までも、痛みに悶える羽目になってしまったのだった。
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