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15-3.誕生日パーティー②
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バーは最上階である十階にあるそうで。
笑也と一緒に行くのに、穫は彼が来るまで部屋の前で待っていた。ちょっと着替えに手間取るらしく、咲夜と羅衣鬼以外にエミも一緒だ。
エミは、笑也に降霊せずとも人間の状態になれるらしいので、今日はそのスタイルでいる。そう言えば、須佐達もそうだったなと思い出したが。
「エミさん、少しお聞きしたいことが」
「なぁにー?」
エミは、神であるからかプロポーションが素晴らしくよくて、穫も直視するのが眩しいくらい。ワインレッドのフォーマルドレスで、胸やスリットが強調されているからだ。
「イタコって、詳しくはないんですけど。基本的には女性が出来るんですよね? けど、エミさんは笑也さんに降霊されてるので」
「ああ、それ? 簡単に言っちゃえば、以前にもあいつが話した時に出たけど。素質よ素質。普通ならあり得ないんだけど、笑也だから出来るって素質があったからよん」
「笑也さんだから?」
「みのりんにも言えるわよん? 万乗の分家筋だからって、咲夜を宿してるのと似た感じ」
「似て、るん……でしょうか?」
「素質の有無はそんなもんよん?」
神様が言っているのなら、そうかもしれない。
そう思うことにして、笑也を待っていたら。
スーツ、に近いフォーマルスタイルの服装とヘアスタイルで出てきた笑也に、穫は鼻血を噴きそうになった。
「……どう?」
「……素敵過ぎまふ」
「ふふ、噛んだのも可愛い」
「みのりん限定ね? その笑顔」
「当然」
とりあえず揃ったので、エレベーターに乗って最上階に。
最上階は部屋に比べれば然程広くないと、笑也に聞いてはいたが。
どこがだ、と思うくらい広いフロアだった。
「ようこそ、穫ちゃん!」
巧が先にいたので、穫は慌ててぺこりとお辞儀をした。
「きょ、今日はわざわざありがとうございます!」
「何言ってんねん? 一連の事件終わって、笑也とも付き合うようになって。そこから、二十歳記念の誕生日やろ? めでたいやんか?」
「来たんだね、穫!」
佐和は既に来ていたようで、少し奥に居たが。何故か、須佐や月詠とダーツで遊んでいたのだ。服装はどう言うわけか佐和は着物だが。
「佐和ちゃん! お着物だなんて、素敵!」
「そう言ってもらえると助かる。ワンピースとかはないから、他所行きだなんてうちじゃ着物程度しかないのさ?」
「普段はああなのに?」
「大学の私服くらい、好きに着たいんだ」
佐和の私服は、少しヘビメタやゴシックを合わせた少年っぽい服装が多い。ピアスなどはしないが、カフリンクスなどでそれらしくはしている。今も、アクセサリーはそれを使っているがいやらしくはない。
「来たか」
「お待ちしていましたよ、穫」
須佐は少々着崩したスーツ。
月詠は羽織メインの着物。
対象的だが、実に神様らしいと思えた。
ちなみに今日のメンバーはこの人数。
斎にも、一応連絡はしたが組織改革のために後処理がまだまだ忙しいそうだ。水無とはあの日目でたく結ばれて、婚約までしたそうだが。
反対派がいないわけではないので、その説得も面倒だそうだ。
「さぁて~! メインのみのりんも揃ったことだし! さわちんはお酒ダメだけど。みのりんのデビューに相応しいカクテルは用意出来てるんでしょ?」
「もちろんや!」
エミが仕切るようで、巧もノリノリだった。この雰囲気は、穫は嫌いじゃない。むしろワクワクしている。
佐和は来月が誕生日なので、その日も予定が合えばここでパーティーをするつもりだ。
巧がバーカウンターの中に入ると、慣れた手つきでカクテルのシェイカーに材料を入れていき。
シャカシャカと振って、逆三角形のグラスに注いだのは。綺麗な桃に近いピンク色の液体。
随分と可愛らしいカクテルだった。
「綺麗です!」
「今日の巧スペシャルやで?」
「わあ!」
「佐和ちゃんにはノンアルやけど、似たもん作ったるわ」
「おお、かたじけない!」
その他は、なんと贅沢にドンペリらしいが。
神様に捧げるのだから、それくらい良いのかな、と思うことにした。
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