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15-2.誕生日パーティー①
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呪怨との騒動も終わり。
世間では。大量無差別事件が起きたと騒いだりもしたが。
証拠が見つかるわけもなく、警察などは騒ぎに騒ぎまくるだけで終わり。
季節も、暑い夏から秋になっていった。
そして、万乗穫は、今日。
二十歳の誕生日を迎えるのだった。
名前の通り、稲穂が実る季節の頃に。
【み~のりん! 誕生日おめでとう~~!!】
大学の講義に書店員のバイトも終わったので、笑也の家にいつも通りに行くと。
今日は降霊してない、エミこと天照大神が穫にダイブする勢いで抱きついてきた。
今日も今日とて、部屋の惨状は腐海の森ではあるが。
抱きついてきたエミが元気なら、エネルギーチャージは出来ているだろう。笑也はこの中で寝こけているのだろうけれど。
すぐに、羅衣鬼を顕現させて。いつもの吸引力でゴミの山を吸い込んでもらう。
笑也は、ソファの上でぐったりとなっていた。
「こんにちは、笑也さん」
揺すってみると、笑也は顔をあげてにへら、と笑みを浮かべてくれた。
「や、穫ちゃん。バイトお疲れ様」
「はい。あの……今日は本当になんにもしなくていいんですか?」
「うん。そこは大丈夫」
【だって、みのりんが主役じゃなぁい?】
成人式はあと数ヶ月先ではあるが、小学生とは違って誕生日会ではしゃぐ年でもない。
だが、エミや笑也達は、記念すべき大人の第一歩だから祝いたいと。数日前からはしゃいでいたのだ。料理は、笑也ではなく巧が用意してくれているらしい。
笑也は起き上がってから、軽くのびをすると。自分の部屋に行ったかと思うとすぐに戻ってきて。大きな箱を抱えてきたのだ。
「はい、先にこれ。プレゼント」
「え、こんな大きなものを?」
「服だけどね?」
「わー!」
ただ、サイズは、と思ったが。後ろからエミが『あたしにかかればちょちょいのちょい』と言うことなので、神様だから教えたのだろう。
平均的な体型なので、まあ自慢出来るわけでもないが。
テーブルを借りて、箱を開けてみれば。
綺麗な黄色の秋物のワンピースが出てきたのだ。
「実際の服選びは……エミになってから選んだんだけど」
たしかに、そうしなければ女性物の服選びをしていたら悪目立ちしていただろう。
少し苦笑いしたが、嬉しかったので服を置いてから笑也に抱きついたのだった。
「ありがとうございます!」
「……どういたしまして」
【みのりん、着替えてきなよぉ? それで今日のパーティーに出席よん?】
「え、ここじゃないんですか?」
「いや。このマンションの最上階にあるバーを使うらしいよ? 巧が言ってたけど」
「わー!」
つまりは、お酒が飲めるかもしれない。
少しドキドキワクワクしながら、穫は一度自宅に戻って、もらったばかりの服に着替えて。
出来るだけ、服に合うようにメイクしてみるのだった。
「似合うぞ、穫」
メイクが終わった頃に、咲夜が顕現した。彼女は、事件が終わっても相変わらず穫の守護に徹している。今は外にいる羅衣鬼もだが。
「ありがとう。咲夜達は……どうする?」
「心配無用」
咲夜が指を軽く鳴らせば、一瞬だけ体が光り。咲夜は、穫に似せたフォーマルスタイルのワンピースに着替えていた。化粧も出来ていて、髪も綺麗に結えてある。
改めて、神様はなんでもありだな、と思った。
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