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15-1.新たな波乱(???視点)

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 *・*・*(???視点)








 呪怨が消滅した。

 それは喜ばしい。

 格別に喜ばしいことだ。


「……これで、十束とつかのつるぎを手に入れやすいかもしれない」


 くらい。

 昏い奥底。

 底の底で、思考をゆるやかに起こしてやる。

 それは、考えていた。

 力を得るために。

 それは考えていた。

 宿主である、あの少女をどうやって引き込もうか。

 だが、あの少女は。

 簡単には自分のものにならないのにも、気づいていた。


達川たちかわの次期当主、とか。厄介だなあ……?」


 と口では言っているが、口元はゆるりと弧を描いているだけ。

 自信がある証拠だ。

 何か、確信を持っているのだろう。

 底の底から、立ち上がり。ゆるやかに上を見上げた。

 上は満天の星が、微かに見えるくらい、底の底にいることがわかる。

 どれくらい、ここにいたのだろうか。

 それはもう数えるのをやめた。

 数える意味がないからだ。


「……待ってて、みのり


 達川との呪縛のような恋慕など、解き放ってくれる。

 自分こそが、彼女の隣に立つのにふさわしい。

 そして、十束剣である、金剛刀こんごうとうの真の所持者になるのも。

 それは、手足に拘束されている枷を弾き飛ばして、上へ上へと身体を浮かせたのだった。
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