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15-1.新たな波乱(???視点)
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呪怨が消滅した。
それは喜ばしい。
格別に喜ばしいことだ。
「……これで、十束剣を手に入れやすいかもしれない」
昏い。
昏い奥底。
底の底で、思考をゆるやかに起こしてやる。
それは、考えていた。
力を得るために。
それは考えていた。
宿主である、あの少女をどうやって引き込もうか。
だが、あの少女は。
簡単には自分のものにならないのにも、気づいていた。
「達川の次期当主、とか。厄介だなあ……?」
と口では言っているが、口元はゆるりと弧を描いているだけ。
自信がある証拠だ。
何か、確信を持っているのだろう。
底の底から、立ち上がり。ゆるやかに上を見上げた。
上は満天の星が、微かに見えるくらい、底の底にいることがわかる。
どれくらい、ここにいたのだろうか。
それはもう数えるのをやめた。
数える意味がないからだ。
「……待ってて、穫」
達川との呪縛のような恋慕など、解き放ってくれる。
自分こそが、彼女の隣に立つのにふさわしい。
そして、十束剣である、金剛刀の真の所持者になるのも。
それは、手足に拘束されている枷を弾き飛ばして、上へ上へと身体を浮かせたのだった。
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