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14-3.親友とのこれから(佐和視点)
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親友、と個人的に思っている友人の危機が去った。
それはとても喜ばしいことだ。
世間はなんやかんや、現代社会のジャック・ザ・リッパーが出たとかなんとか騒いではいるが。
あれは、霧の中でとか、母親を恋しくてとか色々意見が飛び交う問題があった。
その分、呪怨は血肉どころか骨まで、魂まで喰らい続けていたのだ。証拠が残るはずがない。
魂については、呪怨の討伐後に月詠が黄泉路に導いて、蘇生は出来ないが輪廻転生の輪には加わらせたそうだ。たしかに、蘇生は禁忌と称される禁術なので、神でも容易に行えない。
かつて、彼らの親神であった伊弉諾と伊奘冉のように。
「僕の役目も終わりかぁ」
大学の入学式から、ずっと不穏だったひとりの少女。
佐和なりに気になって、色々手を尽くしていたが。笑也達が関わってから、わずか二週間程度で落ち着いてしまうとは。
さすがは、稀代の最強イタコとも言われる達川の一族であり、次期当主。
穫も穫ですごい人材だとわかった時は驚いたが。どちらにせよ、いいことだ。
穫自身は、多額の負債を背負うことにはなったが笑也の自宅のハウスキーパーをすることで大事ない。基本的に術師は現代社会に生きるために、法外な報酬を得ようとするのが普通だ。
だが、それは無理のないこと。アマチュア程度の佐和ならともかく、笑也は立派な術師。きちんと依頼をこなすには仕方がないことだ。とは言え、悪どい術師じゃないので、常識的な範囲で穫に負担がかからないようにしている。
だから、穫をまだあのマンションの一室に住まわせているのだ。
そして、そこまで報酬金の対策をされているのなら、佐和の出番もない。
「あ、佐和ちゃん」
「穫」
休日なので、適当にぶらぶらしていたら、その穫に出会った。買い出しに出かけていたのか、咲夜に人間に化けさせている羅衣鬼もいた。
「散歩?」
「とりあえず、そんなところだ。のんびりしてただけだよ」
「そうなんだ? あのさ、あのさ?」
「うん?」
「斎さんともさっき会ったんだけど。水無さんのことが好きかもしれないんだって」
「水無氏と?」
「そーそー」
普通の女子らしいガールズトーク。
そんな日が、佐和も出来るようになるとは思わず。
なんだか、くすぐったい気持ちになった。
「ふむ。興味深い。だが、穫もそうだろう?」
「え?」
「達川氏のことさ?」
「な、なんで!?」
「信頼もだが、尊敬もしている。その心に偽り無しであれば、さ?」
「……そんな、バレバレ?」
「本人は多分気づいていないと思うさ?」
「ん~……じゃあ、佐和ちゃんは?」
「僕?」
「巧さんとは仲良いじゃない?」
「……さあね?」
恋に恋する少女のように、自分もなるかはわからないが。
とりあえず、今はまだ気づかない方がいい。
そう思うことにして、佐和も夕飯にお呼ばれすることになったので、荷物持ちを手伝ったのだった。
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