イタコ(?)さんと神様は、インスタント食品がお好きだそうな?

櫛田こころ

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13-1.斎の覚悟(斎視点)

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 *・*・*(いつき視点)








 血臭に気配が紛れて、探しにくかった。

 何処だ、何処だ。

 水無みなしに抱えられながら、斎は街中を動き回っていた。

 万乗ばんじょうの因縁の相手である、呪怨。

 その因縁を断ち切るために、自ら動き出したのだ。みのりひとりで背負わせていたごうを終わらせるために。

 当主として、泣き虫の女であっても。

 理解してくれた、歳下の女の子をこれ以上困らせたくはないと思えた。

 だから無防備ではあっても、達川たちかわの家から飛び出したのだ。あとで彼らが追ってきても、出来るだけ先に斎達が呪怨と接触するために。

 だが、水無に連れて来られた場所に、呪怨はいない。由良ゆらとも合流出来ないでいた。


「! 斎様!」
「どうしたの?」
「あの赤い線が見えますか?」


 水無が顎を向けた場所にあったのは。

 神気に満たされた、赤い血で出来た線だった。


「死者の導き……? 誰が……三神のどなたが?」


 可能性としては、月読命つくよみのみこと。死者の魂を導く冥府の神でもある。水無達の報告から、彼や素戔嗚尊すさのおのみことも穫と関わっていたのを聞いていたから。


「……行きますか?」
「もちろんよ。穫さんの前で宣言したんだから……当主として、どこまで対抗出来るかわからないけれど……呪怨を倒すわ」
「……御意」
「斎様! 水無!」


 由良も合流してきたので、斎は自分の足で移動しようと血溜まりの上に降りた。

 気に入りの靴が血で汚れようが今は関係ない。

 すぐに両手で印を結んだ。


「我を導け。悪しき者の元へと導け。血の導き、魂の導き!」


 周りの血溜まりを利用して、月詠つくよみと同じように血の糸のような線を生み出して。

 三人で向かいやすいような高さで伸ばしてから、三人で血溜まりの中を走っていく。

 報道陣や警察がいないのに少し不思議に思ったが、疑問に思う場合じゃない。

 これ以上被害が広がらないうちに仕留めないと。

 この街だけでなく、万乗どころか他家にまで被害が及ぶだろう。

 斎は、水無達には劣るが、鍛えた肉体を駆使して走り出した。

 そして、到着したところには。


「……これは」


 神や穫達はまだ到着していなかったが。

 黒い、黒い何かが、人間の血肉を貪っていたのだった。
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