イタコ(?)さんと神様は、インスタント食品がお好きだそうな?

櫛田こころ

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12-4.草薙剣(須佐視点)

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 *・*・*(須佐すさ視点)







 血潮、血潮。

 血潮の臭い。

 神である素戔嗚尊すさのおのみことですら、むせ返るような臭いだった。

 姉神である天照大神あまてらすおおみかみも、あのみのりも街に出ているとわかったが。姉はともかく、穫はまだ覚醒したての少女に過ぎない。

 この惨状に耐えられるとは思わないが、決断力はある女だ。自らの決断で姉と共に街に出たのだろう。


「……とにかく、どこだ?」


 呪怨が表立って、出てきたと言うことは。

 穫を狙ってのこと。

 つまりは万乗ばんじょうの家の者を狙い、喰らうための準備。

 だが、こうも無差別に喰い荒らせば、骨どころか魂すら幽世あの世にはいかない。

 神として、月読命つくよみのみことの弟として。

 そこは本分をたがえてはいけないからだ。


「……兄者も兄者で動いているとは思うが」


 須佐は、天に向かって手を掲げた。そこから光が生じて、ひとつのつるぎが現れたのだ。


「……草薙剣くさなぎのつるぎよ。我を導け」


 妻にまで導いてくれた、八岐大蛇やまたのおろちの尾から取り出した宝剣。

 人間達の模造刀ではなく、本物の宝剣だ。エミの許可で須佐が持つことを許されている大事な相棒だ。

 柄を握ったら、天高く掲げて、剣先から雷光がほとばしる。辺り一面に落ちていくが、人間達に危害は与えない。

 狙うは、呪怨のみ。


「……ち。分身だけか」


 今の一撃で消せたのは、呪怨の分身程度。

 いくら草薙剣でも、近接戦ではないので、遠隔操作は難しいだろう。

 とにかく、今いるビルから飛び降りて、地上に立つと。

 人間達が集まったり、逃げたりとせわしない状況となっていた。


「……俺も協力すると言った矢先にこれか」


 まったく、人間と言うものは刺激を求める存在だ。

 それが悪いわけではないが、今回は最悪だった。


【……去れ!】


 草薙剣を振り下ろして、群がる人間達に呪を向ければ。ゆっくりではあったが、群がるのをやめて人間達は帰って行った。

 ひとまずは、これを繰り返しつつ呪怨を探すしかない。


「姉者……本体は頼むしかないか?」


 出来るだけ須佐も手伝いたいが、それが叶うかわからない。

 だから、出来ることをするしかないのだった。
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