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7-2.襲撃①
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友達になってくれた女の子が、知らないうちに自分を助けてくれてた。
びっくりはしたが、同時に申し訳なさと嬉しさが込み上がってきた。高校までの友達以外で、穫自身を気にかけてくれる人がいただなんて。
偶然の偶然かもしれないけれど、本家らしい万乗の呪いが濃くなっていくのを見過ごせなかったそうだ。
穫がお茶を淹れてリビングに戻ると、ちょうど笑也がエミになるところだった。
「我が身に降ろせ、高天ヶ原の御神。魅入られ、魅入る国津神の御許」
呪文のような、詠唱のように言葉が少しずつ紡がれ、声が高くなっていく。
「我が身に降ろせ、万物の象徴。全てを見通せ、遍く星の声。────さあ、我が身を見よ」
少し間を置き、完全に女性そのものの声になったら。姿そのものは、いつもの黒髪の美女。エミに変わったのだった。
「こーんな感じよん?」
エミとしては初対面でも、佐和のことは気に入ったようだ。
「ほう! 達川氏の一族がイタコを主軸にしているとは聞き及んでいたが。まさか、達川氏本人が本当にイタコを可能としているとは!」
「この姿の時は、エミよん?」
「了解した、エミ氏。……ん?」
拍手していた手を止めて、佐和が急に立ち上がって服の隙間に手を差し込んで、大量の札を取り出した。
エミもエミで、いつものようにコーヒーか砂糖のスティックを持って窓に向かって構えた。
と言うことは。
【穫、私を使え!】
【俺も頑張る!】
咲夜と羅衣鬼が顕現して、咲夜は剣として穫の手中に。羅衣鬼は少し成長した姿で穫を守るようにして構えた。
そして、ほぼ同時に呪怨の、分身らしきものが現れて。
すぐに攻撃してくるかと思えば、うなっているだけだった。
【何故だ】
言葉を話した。
穫は驚いたが、返事をしていいのかわからず、少し待った。
【何故だ。我らの邪魔をする?……そこな娘もだが、何故大神まで】
「愚問ね? 万乗に巣食うもの」
エミはスティックの袋を破りながら、少しずつ呪怨に近いて行った。
【……?】
「あたしは万乗穫と契約した。お前を倒すこと。お前を倒すことで影響を受けて死ぬかもしれない、万乗の者達を救うこと。だから手を貸すまで!」
と言って、スティックの中身を二本振りかければ。
強力だったのか、呪怨の分身はうめき声を上げながら消えていき。
終わりかと思ったが、エミが後ろに跳躍した途端に黒い渦があちこちに出現したのだった。
「おー! これは僕の出番あっても、対処出来るかなあ?」
佐和は危機感を感じているはずなのに、どこか楽しんでいるように見えた。そう言う感覚はエミと同じかもしれない。
「さーわ、ちん? 安倍の傍流の傍流でもあんたは強いんだから、友達のために頑張ってきたんでしょ?」
「ふふ。大神に言われるとこしょばい」
そう言いながら、佐和は持っていた札をばらまき。どう言う仕組みかわからないが、丸い円を描いたのだった。
「佐和ちゃん?」
「僕も手伝うよ、万乗氏。いや、穫! 僕の友達を害なす者は呪怨でも許さない!」
そう言った直後。
札が分裂して、弓矢のように変化して渦に向かって行ったのだった。
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