上 下
34 / 168

6-1.羅衣鬼の処遇

しおりを挟む





 *・*・*






 小鬼が羅衣鬼らいきと名付けられた鬼となり。

 いや、正確には守護鬼と呼ばれる、聖なる存在になったそうだが。

 標準は、人間で言う小学生サイズになったので、みのりは可愛くて可愛くて仕方なくて。エミに許可をもらってから、ぎゅーぎゅーに抱きしめて。

 それはもう可愛かった。まるで、そう言うキャラクターと相違ないくらいの可愛さ。

 隣にいる咲夜さくやに、羅衣鬼が窒息寸前まで抱きしめてたので救助させられるくらいに。


「羅衣鬼を守護鬼にしたんだから、きっちりみのりんを妖達から守るのよん? もち、例の呪怨も咲夜と一緒に頑張りなさい? あたしもフォローするけど」
「「御意」」


 そして、咲夜と一緒にラグマットの上でひざまずくのがかっこ可愛かった。

 でもって、穫の守護に具体的につくとなれば。

 性別が問題だ。

 咲夜のようにどっちでもない存在ではないので、羅衣鬼は男なのだから。

 なので、着替え云々と寝るときなどは、穫に影で休むことになった。日中は、穫の自室や笑也えみやの家に来た場合は顕現可ということに。

 さらにもう一つ。

 羅衣鬼の体のサイズが自由自在に変えられるそうだ。

 羅衣鬼自身が望めば、笑也やたくみくらいの大きさにまでなるらしい。実際変身してみたら、二人に負けないくらいのイケメンになったのだ。


「よろしくな、穫」
「うん、羅衣鬼君」


 また元の小学生サイズに戻ってから、羅衣鬼と握手したのだった。

 そして、須佐すさ月詠つくよみが加わって、また今日も酒盛りとなり。

 咲夜と大きくなった羅衣鬼と共に、つまみや料理を冷凍食品メインで色々と作り。巧に帰っていいと言われてからは、穫はある決意をした。


「? どうした?」
「咲夜、まだ『お風呂』入ってないよね?」
「ないな」
「羅衣鬼君は今まで使ったことは?」
「ないぞー?」

 と言うこと、はだ。


「お風呂入るよ!」
「「!?」」
「あ、羅衣鬼君は正確には『入れる』だから。私は服は着るよ?」
「いや、そうだけど。俺、実際は穫よりだいぶ歳上だぜ?」
「まあまあ、今日だけだから」
「えー?」
「羅衣鬼、諦めろ」


 なので、羅衣鬼にはすっぽんぽんになってもらい。エミに昇格をさせられたことで一緒に着ていた服は、洗う必要はないらしい。体の一部のようなものだそうだ。


「はーい。まずは、全身流すよー?」
「おー……」


 すっぽんぽんになった羅衣鬼は、角以外たしかに小学生の男の子そのものだ。

 穫に兄弟はいないが、年の離れた従兄弟はいるので。彼が小さい頃は一緒に風呂に入って体を流してあげた経験がある。

 羅衣鬼を見ても、そんな懐かしさが浮かぶだけだった。

 髪も少し鋭くなった角に注意しながら、丁寧にお湯をかけ。体も少し温めのお湯で流した。

 まずはボディーソープで体全体をあわあわにさせて。その次は髪。

 で、流したら、少し少なめに湯を張った浴槽に浸からせて、温まってもらう。

 子供のように、百数えたら呼ぶように伝えて。

 その間に、咲夜と一緒にホットハニーココアを作るのだった。

 出来上がったら、羅衣鬼が呼んだので。上がらせて、丁寧に髪と体をタオルで拭いて。ドライヤーで乾かしてから、彼に先にココアを飲むように伝えた。

 その後は、時短も兼ねて咲夜と一緒に風呂に入ったが。

 神様の部類だからか、咲夜の身体はエミに負けずご立派な胸を持っていたのだった。
しおりを挟む

処理中です...