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5-7.キムチチーズリゾット(小鬼視点)
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処罰される覚悟だったのに。
予想外過ぎて、小鬼はまだ気分が高騰していた。
人間の『友達』を助けるために、ずっと見守ってきたけれど。
すべてがすべて、彼女に逆方向に作用してしまい。結果、界隈でも噂高い、達川の人間に依頼していたのだ。
だがそのおかげで、彼女の内に秘められていた『金剛刀』が覚醒して、攻撃と守護の力を得られた。
だから、自分はもう用無しだと思っていたのに。
穫の前に飛び出したのは最後の別れのつもりだったのが。
降霊したエミこと天照大神の口添えで、昇華させられるどころか穫の守護を務める鬼になれと言われたのだ。
そのことが未だに信じられないでいるのだ。
あと、他の二神まで一緒になって食卓を囲むだなんて。
弱い弱い、低級過ぎる雑鬼でしかない小鬼には恐れ多い場であった。のに、二神も気にせず食卓を囲んで下さった。
そして今。
小鬼は任務を任された。
ずーっと、ヴィーとか鳴っている金属の箱の中にある米のレトルトと言うのが温まるのを見守ること。人間じゃないので料理は超初心者だから、穫に頼まれたことをするだけ。
温めが完了するような音が鳴ったら、穫に知らせた。
「穫ー! 出来たっぽい」
「ありがとう。じゃ、小鬼君と咲夜は見てて?」
「応」
金剛刀は顕現して人間のような姿でいて、男女どちらでもないので女でいるらしい。名前も、宿主の穫が名付けたらしく、咲夜と古風な名をもらったそうだ。
小鬼も雑鬼以外の呼び名として、穫には昔に『小鬼』ともらったが正式な名前ではない。それでも、他の雑鬼に比べれば力は強いが。
「さっき少し剥がした部分をめくって」
「おお!? 米だ米! 艶々!!」
「このご飯をしゃもじですくって、味付けしなおしたお鍋の汁の中に入れて」
煮たったら、また新たにチーズをたっぷり入れて煮るようだ。
肉は餃子だけだったが、この味付けは小鬼も初めてだったのに濃くてまろやかで、好きな味になったのだ。
「……チーズが溶けたら、完成か?」
「そうそう。お鍋持っていくと争奪戦になりそうだから、ここでよそっていくね?」
「応。なら、大神方の御前にある食器は一度片付けるか?」
「そうだね? これもスプーンとかがいいし」
出来上がったりぞっとと言う雑炊のようなそうでないような料理は。
小鬼の腹を異様に空かしてしまいそうだった。
「小鬼。配膳を手伝ってくれ」
「おー!」
咲夜に言われて、妖気を使って器を載せた盆を運んで行く。ついでにスプーンも。スプーンの意味は、最近知ったので知っているのだ。
「お待たせ致しました、キムチチーズリゾットです」
「きゃっほー!!」
「いい匂いですね?」
「応」
「美味そうやー!」
そして、もう一度いただきますをしてから、浮いた状態で器を持ちながらスプーンでひと口。
鍋であれだけ美味しいと思っていたのに、これは別物だった。
程よくピリリと辛いキムチ と言う食材の残りと、餃子の旨みが残っていて。米とチーズに絡んでなんとも言い難い旨みを生み出していた。
小鬼もだが、大神達も善逸すぐに平らげてしまったのだ。
「んー? お腹に余裕はあるけど。先にやらないといけないことがあるわ」
エミと仮名がある天照大神が、立ち上がってすぐに小鬼をつまみあげて、ソファと言う座椅子のような場所に座らされた。
「? あの」
「呼称は小鬼。お前の属する妖気はなに?」
いきなり、だが。今から穫の守護鬼になる儀式が始まったとわかった。
ので、すぐにソファの上でひざまずいた。
「……金。雷です」
「……であれば、それに相応しい呼称を与えなくては。その属性に応じて、羅衣鬼と名乗れ」
「……有り難く、頂戴します」
そして、次の瞬間。
小鬼、いや羅衣鬼の体が膨れ上がり。
子犬くらいの大きさから、穫と出会った当時の。彼女くらいの子供の大きさとなり。
一つ目が引き攣るような痛みを感じて、二つの目になり。
毛も生えて、角がある以外は人間の子供くらいの姿になってしまったのだった。
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