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2-1.一緒には住まない
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作戦会議となってしまった。
思った以上に、大変な事件となってしまったからだが。
「……解決かと思えば、さらにまたどえらい事件やないか? エミが引き受けたからって、大丈夫か笑也?」
コンシェルジュの仕事をほっぽって来ていいものか。気にはなったが、平日のこの時間は来客が少ないから大丈夫らしい。
服装はコンシェルジュのスーツのままで、この家にいると少し違和感を感じた穫だったが。とりあえず、ゴミ屋敷以上に腐海の森と化していた残りの清掃は巧が業者と頑張ったようで今達川宅は見違えていた。
「……うん。僕も同意したし、穫ちゃんを助けてあげたいしね? だから、解決と依頼料がわりにこの家に住まわせてあげたいんだけど」
「それはかまへんけど。いや……あかんな? なーんもやましいことありゃせんよな?」
「あのね? 僕達いくつなのさ」
「年齢関係ないわ」
いったいいくつなのだろうか。巧はこの高級マンションのコンシェルジュ兼管理人。笑也や普段はインスタント食品研究家だが、本業はイタコ。
恐る恐る、穫は聞くことにした。
「あの。大変失礼なんですが、おふたりはおいくつなんですか?」
「二十六だよ?」
「けーど。ピッチピチの大学生を一時的にも下宿させんのは、あかん。管理人権限で隣の物件貸すわ。ハウスキーパーは常駐させんでもいいやろ?」
「……呪怨が関係してるかもしれないのに? 隣でも危険かもよ?」
「そうは言うが。おっ前エミを降ろせるからって、女の事情知ってんのか??」
「……い、ちおー」
「あかん。あかんで? そんな調子では預けられん! 穫ちゃん、こいつと一緒と隣でひとり暮らし。どっちがええ?!」
たしかに、笑也が提案してきた時は安心してしまったが。普段のエミは、笑也と言う男性だ。
おまけに、美人のエミと比較しても同率なくらいにイケメンの男性でもある。彼氏が今までいたことがない穫にとって、家族でもない男性とひとつ屋根の下で暮らせるかと言われれば。
正直言って、無理だ。そこは、巧の言う通りかもしれない。
けど。
「でも、ひとりで使わせていただいたら……あっちの家と同じように。おばあちゃんがなんとかしようとしてた霊まで集まってくるんじゃ」
「それは僕とエミで引き受けるから、大丈夫。と言うよりそのエミ……天照大神の恩恵があるこの建物まで、雑魚霊程度が侵入してくると思わないよ?」
「……神様の、恩恵?」
「せやな? けーど、ゴミ屋敷に何回も何回もさせんのはやめれ!!」
「仕方ないじゃーん」
たしかに、あのゴミ屋敷状態を何度も何度も繰り返されたら、巧じゃなくてもいやになるだろう。
「えっと……それじゃあ、巧さんの提案。受けたいです。もちろん、ハウスキーパーもやります」
「うっし! あ、穫ちゃんバイトとかは??」
「本屋さんで書店員さんの補助を。週三ですが」
「じゃ、笑也んとこは毎日だから。依頼料関係やからって、給料はもらい? なんでかって、重労働過ぎるからなあ?」
「……うん。弁明しません」
「ほな、決定!」
「え、そんな! お高い依頼料がわりになんですから全然!!」
「じゃ、毎回毎回只働きであのゴミ屋敷ひとりで片付け出来る? ストレス溜まるで??」
「う……」
ただ、エミがその提案に乗るかわからないので。笑也が今日三回目の降霊術を披露したのだった。
「お金? うん、いいわよ? みのりんのご飯美味しいもん! 今までのクズ連中には払うのだなんて嫌だったけど。みのりんには大賛成! これから定期的にご飯食べさせてもらえるから~」
と、一発OKをもらえたので。穫はアパートの大家に連絡をとって、しばらく友達の家に居候すると言う理由で笑也達のマンションに引っ越すことになった。
新しい生活、新しい苦難。
けれど、笑也とエミ達がいるのなら、不思議と不安にはならない。
とりあえず、呪怨の動向を探るために。まずはエミこと天照大神とその兄弟大神を集結させることになり。
穫のハウスキーパーの仕事がスタートしたのだ。
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