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0-2.管理人さんと打ち解ける
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とりあえず、六条の案内で達川の部屋に行くことになった。
「すみません、依頼人の方に作っていただくなんて」
「い、いえ! あ……話しやすい方で、いいですよ?」
もう素の部分は見てしまったので、今更接客側を見てても落ち着かないと言うか。
すると、穫の言葉とエレベーターが開いてから、六条は苦笑いしてきた。
「ほな、万乗ちゃんの前では素に戻るわ。けど、怖なかったか? 俺、笑也の前だと大抵ああだし」
「だ、大丈夫……です! ちょっとびっくりしましたけど、あ、呼びにくいでしょうから穫でいいです」
「穫ちゃん言うんか? 俺は、功や。どっちでもええで」
「わ、わかりました」
先に入るように促されたので、軽くお辞儀をしてからこちらも涼しいエレベーター内を見渡す。
エレベーターは外だけガラスを使ってるが中庭が見渡せて、動くと観光施設に似た光景に少しだけ心が和んだ。
「綺麗やろ? 一応、プロと俺が管理してるんや」
「功さんも?」
「俺もメインはフロントだもんでしょっちゅうじゃないけどな? っと、着いたで」
三階だから、観光気分はあっという間に終わってしまい 、すぐにエレベーターを出た。
廊下は横幅だけでもとても広く、穫が例え寝転がっても余裕過ぎるだろうと言うくらい。
「広いやろ? このフロア、今のとこ住んでんのは笑也だけやしな」
「や、家賃……お高いから?」
「それもあるが……あいつの仕事関係で誰も寄り付かんねん。しゃぁないけど、管理人としちゃつらいわ」
達川と親しいのなら、その仕事内容を知っていても不思議ではない。
功にこっちだと手招きしたのでついていくと、床に使われてる石にヒールが当たることで強く、綺麗な音が響いた。
「床は結構ええ大理石使ってるからなぁ? ええ音するやろ?」
「は、はい! うるさくてすみません!」
「ピンヒール履いてるし、女の子やからええって。穫ちゃん、教授知っとるって感じやと生徒? 大学生?」
「あ、はい。二年生です!」
「そっかー、こんな可愛い依頼人、笑也に会わすのもったいないわー。おまけに料理得意そうやし」
「実家が、食堂なので」
不安を抱えていたが、楽しい話題ばかり引っ張ってくれている。豹変した時はすごく驚いたが、人当たりの良い、いい男性だ。
やがて達川の部屋に着けば、スウェットに入れておいたマスターキーのようなのを取り出す。
ようなのと思ったのは、鍵束ではなく一枚のカードキーだったからだ。
「あの様子なら、他に仕事は持ち込んでないと思うが……」
慎重に鍵穴に差し込んで、軽い電子音が聞こえるとすぐに抜く。
それから功は、カードキーをしまってからノブに手をかけた。
「穫ちゃん。中見ても、想像してんのとは違う意味で驚くけど、怖くはないから」
「は、はぁ……?」
どう言う意味なのかすぐにはわからなかったが、これから会う人物の職業を思い出した。
なので、すぐに頷いてから功の後に続いたが、たしかに違う意味で驚くことになってしまった。
「ご、ごみ……屋敷?」
外が高級過ぎるマンションに対して、室内はどこもかしこもインスタント食品のゴミと袋で散らかりまくっていたのだ。
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