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第4話
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彼女は彼女で、白い綿毛のような髪をふるふる震わせながらルーノをじっと見てたんだけど。お互い目が合ったら、ライラが動き出した!? まさかルーノがさっき僕にしたように蹴り技をお見舞いするんじゃ、と思ったら。
『お姉さん、きれー!!』
「わっぷ!?」
逆に抱きついてふくよかなルーノの胸にすりすりし出した?
『さっき見たお花みたいにきれいな髪も、顔も好み~。リュートのお嫁さんになるんなら、ずっと一緒でしょ? あたし、この人ならいいー!』
「お、おおきに?」
『現金なやつ~』
『下手な反対されるよりよかろう』
「じゃあ……ここでみんな一緒に住む?」
『『『異議なし!』』』
「ほ、ほんまに? あたいと家族になってくれるん?」
「ほんまやで、ルーノ」
親はもういないけど、新しい家族のスタートには相応しい瞬間じゃないかな?
帰郷してから一週間後。僕とルーノは村をあげて結婚式をとり行い、夫婦となった。
祝福のパレードのようなこともして、演出はキエラとライラが自分たちの特性を生かして雲と綿を使ってきらびやかにしてくれたのだ。あれはなかなかに壮観だったね。桜の咲く時期ということもあり、ピンクと白のコントラストがいい感じになっていたよ。
それと僕の仕事はテイマーの能力を活かして、自警団の一員に加わることになった。活動していた国から距離はあったけど、僕らの活躍はこの村にまで行き届いていたみたい。だから、今度の上司になったケインズさんからは『頼りにしてる』と、入団初日に思いっきり背中を叩かれて歓迎された。
「ここいらは山奥だが、ダンジョンの発生地から距離も近い。場合によっては魔物が村にまで下りてくるからな? 油断は出来ないんだ」
「昔と違って、ダンジョンが?」
「ああ。ちょうどお前さんが村を出た後やな」
そんな危険区域にまで発展していただなんて。ますます、村に戻ってきて正解だった。守るものも出来た今、それを大切にするために僕は動こうと決めた。
「ケインズさん。僕、調査してきていいですか?」
「言うと思ったわ。お前さんにはテイマーした仲間がいるやろ? まだ現役冒険者と変わりないし、頼んでええか?」
「はい!」
ダンジョンは大小問わず、発生したら中央部にあるコアが育てば育つほど中の階層が拡大していく生きた異空間だ。その事実を知るのは、まだ世界でもほんのわずか。僕がランクSに行き着いても壊滅したダンジョンはごく一部だ。その功績を活かし、今回も対処していこう。十年も育った異空間の中がどれだけ入り組んでいるかわからないが、村のためにも見過ごすわけにはいかない。
潜り込む前に、僕は家に帰ってからルーノにきちんと話すことにした。
「ダンジョンにそんな秘密があったやなんて……」
「危険は承知だけど、みんながいるからきっと大丈夫。僕らを信じて」
『『任せて!』』
『応』
「せやな。あたいも行きたいけど足手まといやろうし」
「鍛錬は続けていたの?」
「おん。まあ、再会したてん時のあんくらいや。リュートに余裕で避けられるんやったら全然通じんやろ。美味しいお弁当たくさん作るから、みんなで食べてーや」
『『わーい!』』
『うむ。ルシアーノの料理は美味だからな』
「おおきに」
本当に、ルーノの料理技術は昔とは比べ物にならないくらいスキルアップしている。結婚を決めて一緒に住み始めた日に振る舞ってくれた、簡単なものでもすごく美味しかった。ちょっと高級な宿顔負けなくらいだったよ。
それがテイマーしたみんなもすごく気に入って、ルーノと結婚して正式に実家に引っ越してからも虜になったと言っていい。その料理がお弁当になるから、キエラが挙手して自分の亜空間収納の魔法に大量に入れていくと言い出すくらいだ。
『お姉さん、きれー!!』
「わっぷ!?」
逆に抱きついてふくよかなルーノの胸にすりすりし出した?
『さっき見たお花みたいにきれいな髪も、顔も好み~。リュートのお嫁さんになるんなら、ずっと一緒でしょ? あたし、この人ならいいー!』
「お、おおきに?」
『現金なやつ~』
『下手な反対されるよりよかろう』
「じゃあ……ここでみんな一緒に住む?」
『『『異議なし!』』』
「ほ、ほんまに? あたいと家族になってくれるん?」
「ほんまやで、ルーノ」
親はもういないけど、新しい家族のスタートには相応しい瞬間じゃないかな?
帰郷してから一週間後。僕とルーノは村をあげて結婚式をとり行い、夫婦となった。
祝福のパレードのようなこともして、演出はキエラとライラが自分たちの特性を生かして雲と綿を使ってきらびやかにしてくれたのだ。あれはなかなかに壮観だったね。桜の咲く時期ということもあり、ピンクと白のコントラストがいい感じになっていたよ。
それと僕の仕事はテイマーの能力を活かして、自警団の一員に加わることになった。活動していた国から距離はあったけど、僕らの活躍はこの村にまで行き届いていたみたい。だから、今度の上司になったケインズさんからは『頼りにしてる』と、入団初日に思いっきり背中を叩かれて歓迎された。
「ここいらは山奥だが、ダンジョンの発生地から距離も近い。場合によっては魔物が村にまで下りてくるからな? 油断は出来ないんだ」
「昔と違って、ダンジョンが?」
「ああ。ちょうどお前さんが村を出た後やな」
そんな危険区域にまで発展していただなんて。ますます、村に戻ってきて正解だった。守るものも出来た今、それを大切にするために僕は動こうと決めた。
「ケインズさん。僕、調査してきていいですか?」
「言うと思ったわ。お前さんにはテイマーした仲間がいるやろ? まだ現役冒険者と変わりないし、頼んでええか?」
「はい!」
ダンジョンは大小問わず、発生したら中央部にあるコアが育てば育つほど中の階層が拡大していく生きた異空間だ。その事実を知るのは、まだ世界でもほんのわずか。僕がランクSに行き着いても壊滅したダンジョンはごく一部だ。その功績を活かし、今回も対処していこう。十年も育った異空間の中がどれだけ入り組んでいるかわからないが、村のためにも見過ごすわけにはいかない。
潜り込む前に、僕は家に帰ってからルーノにきちんと話すことにした。
「ダンジョンにそんな秘密があったやなんて……」
「危険は承知だけど、みんながいるからきっと大丈夫。僕らを信じて」
『『任せて!』』
『応』
「せやな。あたいも行きたいけど足手まといやろうし」
「鍛錬は続けていたの?」
「おん。まあ、再会したてん時のあんくらいや。リュートに余裕で避けられるんやったら全然通じんやろ。美味しいお弁当たくさん作るから、みんなで食べてーや」
『『わーい!』』
『うむ。ルシアーノの料理は美味だからな』
「おおきに」
本当に、ルーノの料理技術は昔とは比べ物にならないくらいスキルアップしている。結婚を決めて一緒に住み始めた日に振る舞ってくれた、簡単なものでもすごく美味しかった。ちょっと高級な宿顔負けなくらいだったよ。
それがテイマーしたみんなもすごく気に入って、ルーノと結婚して正式に実家に引っ越してからも虜になったと言っていい。その料理がお弁当になるから、キエラが挙手して自分の亜空間収納の魔法に大量に入れていくと言い出すくらいだ。
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