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第121話 おべんきょー編①
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ルーブルのお休みの日。
学校から帰ってきて、あたしがおとうさんとパン屋さんめぐりに行く日。
ランドセルを片付けて、手を洗ってからおうちを出たの。おとうさんとは車を使ってあちこち行くんだって。歩くとお店が閉まっちゃうところが多いから。
「いいか、桜乃? パン屋さんは店を開け始めた時間も大事だが……終わる頃も大事なんだ?」
「どうして?」
「どのパンが売れ残っているか、どのパンがたくさん買ってもらえたか……それがわかる目安なんだ。店によるが、値札を仕舞うことで見分けがつく」
「うーん?」
ちょっとむずかしいけれど、すこーしわかったようなそうでないような??
首をこてんとしてると、じょしゅせきにいるあたしにうんてんせきにいるおとうさんがわしゃわしゃしてくれた。
「ま、行けばわかる。そら、まずはあそこだ」
見えたかんばんには、『チーノ』って書いてあったわ。たしか、うちのおじいちゃんと同じくらいのおじいちゃんてんちょーさんがやってるお店だわ!
ちゅうしゃじょうに止めて、おとうさんと手をつないでお店に入ったら……ほとんどのパンが売れていて、ちょっとさみしかったわ。けど、おとうさんがさっき言ってたことを思い出せば、これはいいことのはず。
「おう。涼太か? 小さい嬢ちゃん??」
「こんにちはー」
すっごい久しぶりに会うおじいちゃんのてんちょーさんにあいさつしたわ。あたしがおぼえているのより、ちょっとシワが多いような?
「おう、こんにちは。珍しいな? パパと来たのか?」
「うん! おべんきょー!」
「…… 勉強?」
「この子の夢もパンの製造員なんですよ」
「……ほぉ?」
うちのおじいちゃんよりシワが多いけど、笑顔が可愛いおじいちゃんだった。すると、あたしの頭をなでなでしてくれたの。
「?」
「競争相手が可愛い嬢ちゃんになるのか? うちの倅もそろそろドイツから帰国するしな。……敵情視察もいいが、こんな小さい子の夢がもう決まってんのか」
「うちの親父の指導を受けているので、なかなかの腕前ですよ」
「! 段蔵の指導か? そりゃ、期待大だなあ?」
ガッハッハって笑う声が大きい!
けど、ほめられているのかな? さっきより笑顔だもん。
とりあえず、ここのパンはフランスパンと小さい食パンを買うことにしたんだけど……フランスパンにはクルミが入ってて、食パンにはチョコが入ってたわ。
これが、あんまり売れないパン?
おとうさんに車の中で食パンの方を食べていいって言われて、ちぎって食べたんだけど……美濃さんと作った方がおいしいって素直に思ったの。
「……その顔は微妙か?」
「……ふつー」
「まあ。製法を一部変えたかもしれないな。……昔はあそことうちは張り合っていたんだが、保存料を入れたのもあるかもしれない。難しいんだよ、美味しいだけを追求したパン作りだけじゃ」
「そうなの?」
「コンビニとかスーパーのパンは日持ちするだろう? だけど、町のパン屋はそれをしないところが多いけど……代わりに値段が高いんだ。それでも買ってくれるお客さんは大事だ。その期待に応えれるのとそうじゃないのもある」
「……そうなんだ」
ちょっとずつ考えたけど……そう言うのも大人の事情なんだなって、あたしは思ったわ。
学校から帰ってきて、あたしがおとうさんとパン屋さんめぐりに行く日。
ランドセルを片付けて、手を洗ってからおうちを出たの。おとうさんとは車を使ってあちこち行くんだって。歩くとお店が閉まっちゃうところが多いから。
「いいか、桜乃? パン屋さんは店を開け始めた時間も大事だが……終わる頃も大事なんだ?」
「どうして?」
「どのパンが売れ残っているか、どのパンがたくさん買ってもらえたか……それがわかる目安なんだ。店によるが、値札を仕舞うことで見分けがつく」
「うーん?」
ちょっとむずかしいけれど、すこーしわかったようなそうでないような??
首をこてんとしてると、じょしゅせきにいるあたしにうんてんせきにいるおとうさんがわしゃわしゃしてくれた。
「ま、行けばわかる。そら、まずはあそこだ」
見えたかんばんには、『チーノ』って書いてあったわ。たしか、うちのおじいちゃんと同じくらいのおじいちゃんてんちょーさんがやってるお店だわ!
ちゅうしゃじょうに止めて、おとうさんと手をつないでお店に入ったら……ほとんどのパンが売れていて、ちょっとさみしかったわ。けど、おとうさんがさっき言ってたことを思い出せば、これはいいことのはず。
「おう。涼太か? 小さい嬢ちゃん??」
「こんにちはー」
すっごい久しぶりに会うおじいちゃんのてんちょーさんにあいさつしたわ。あたしがおぼえているのより、ちょっとシワが多いような?
「おう、こんにちは。珍しいな? パパと来たのか?」
「うん! おべんきょー!」
「…… 勉強?」
「この子の夢もパンの製造員なんですよ」
「……ほぉ?」
うちのおじいちゃんよりシワが多いけど、笑顔が可愛いおじいちゃんだった。すると、あたしの頭をなでなでしてくれたの。
「?」
「競争相手が可愛い嬢ちゃんになるのか? うちの倅もそろそろドイツから帰国するしな。……敵情視察もいいが、こんな小さい子の夢がもう決まってんのか」
「うちの親父の指導を受けているので、なかなかの腕前ですよ」
「! 段蔵の指導か? そりゃ、期待大だなあ?」
ガッハッハって笑う声が大きい!
けど、ほめられているのかな? さっきより笑顔だもん。
とりあえず、ここのパンはフランスパンと小さい食パンを買うことにしたんだけど……フランスパンにはクルミが入ってて、食パンにはチョコが入ってたわ。
これが、あんまり売れないパン?
おとうさんに車の中で食パンの方を食べていいって言われて、ちぎって食べたんだけど……美濃さんと作った方がおいしいって素直に思ったの。
「……その顔は微妙か?」
「……ふつー」
「まあ。製法を一部変えたかもしれないな。……昔はあそことうちは張り合っていたんだが、保存料を入れたのもあるかもしれない。難しいんだよ、美味しいだけを追求したパン作りだけじゃ」
「そうなの?」
「コンビニとかスーパーのパンは日持ちするだろう? だけど、町のパン屋はそれをしないところが多いけど……代わりに値段が高いんだ。それでも買ってくれるお客さんは大事だ。その期待に応えれるのとそうじゃないのもある」
「……そうなんだ」
ちょっとずつ考えたけど……そう言うのも大人の事情なんだなって、あたしは思ったわ。
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