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第120話 お父さんの提案
しおりを挟む「……パン屋さん、めぐり??」
おとうさんがどっかに行ってたけど、もどってきたらあたしにそう言ってくれたの。
でも、パン屋さんめぐりってなんだろう? どう言うことかな?
「そうだ。簡単に言えば、いろんなパン屋さんにお買い物に行くんだ。うちとは違うパン屋さんはいっぱいあるだろう? 色々勉強しに行くんだ。ご褒美は買ったパンを食べていいことだな」
「! いろんなの食べれるの!?」
「ああ、そうだ。表彰式されるくらい頑張っただろう? だが、パン屋になるには他のお店のことも勉強しなくちゃいけない」
「行く!」
美濃さんとパン作りするのも、すっごく楽しいけど。おとうさんのようにパンしょくにんになりたいから、おとうさんのべんきょーを教えてもらえるんなら、うれしいわ!!
いつ行くか聞くと、次のお店がおやすみの日……あたしが学校から帰って来てからだって。だから、パーティーの前の日だったわ!!
「んじゃ、お父さんとの約束だ。守れるか?」
「うん!」
おかあさんには心配させちゃったけど……大きくなるためにべんきょーできるようになるのはうれしいもん!! 早くおとなになりたいけど……澪ちゃんのように言われることが出来るかもしれないから、女の子でも強くならなくちゃ!
パン屋めぐりも楽しみ!! いっぱいいろんなパン屋さんに行って……まだまだ知らないパンを食べれるんだもん。どんなパンに出会えるのかなあ?
お話が終わってから、おじいちゃんと蔵に行って……美濃さんにお話を伝えた。
全部聞いてもらったら、美濃さんは指を立てたの。
『良いか、桜乃』
「なあに?」
『パン屋巡り……つまりは敵情視察と言っても良い。こころして行くのじゃ』
「せめてライバル店の偵察だろ?」
「え? え?」
「楽しみでもあるが、ルーブル以外のパン屋も増えた。涼太はうちの店の味も守っているが、他の新しい店にちょっと行ってはいいとこを勉強してんだよ。今ルーブルに並んでるパンの半分は、涼太が作り替えているんだ」
「……すごーい」
ただいおいしいパンを作るんじゃダメなんだ。いいとこをマネしちゃうのかな? そう言えば、美濃さんとパンを作るようになってから……お店のパンをちゃんと見てないや。パンしょくにんが夢なのに、ダメだったわ!!
『じゃから、桜乃にもいい機会じゃ。外に出歩き、新たな出会いをするのも良い』
「はーい!」
その次の日にはパーティーがあるし……おべんきょーが出来たら、もっとごほーびがあるもんね!!
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