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第114話 事情の難しさ
しおりを挟む「みーおーちゃーん!」
「あ、桜乃ちゃん」
おっきな声でよんだら、こっちを見てくれたけど……元気のない笑顔だった。澪ちゃんが元気じゃないのはさみしい。だから、招待状で元気になってほしいわ!!
前に立ったら、はいってわたしたの!!
「どーぞ!」
「? お手紙?」
「ううん! 招待状!」
「招待状? 誰かの誕生日?? 桜乃ちゃん、もう終わったでしょ?」
「ちょっとしたパーティーするの!」
「私たちで書きました!」
なっちゃんも追いついてきたから、二人で『ねー?』って言ったの。
澪ちゃんは招待状を持ってくれて……中を見たら、『わ!』って喜んでくれた。
『桜乃ちゃんのレベルアップパーティー?』
『そうなの。みんなのおかげだから、パーティーにしたいの』
『みんなでごちそう作るんです』
『何それ絶対行く! 私豆腐ドーナツ作るよ!』
『……澪ちゃん元気出た?』
「……あ」
あたしが聞くと、澪ちゃんはくしゃっとした笑顔になったわ。
「子どもでもわかるんだからね! 幼なじみだもん」
「……ありがと。ちょっと……疲れてたんだ」
「……大丈夫ですか?」
「うん。大人だけど……時々君たちみたいな子どもに戻りたいって思っちゃってね。今の仕事……好きなのに、周りはそう見えてないのかもって言われて」
「……さっきのおばちゃんに?」
「そんな感じ。早くお婿さんもらって後継いでもらえばって……私は私でここを選んだのに」
「……難しいですね」
澪ちゃんは自分でお豆腐屋さんの、『都波』さんでお仕事してるのに……おばちゃんたちには、変に見えたのかな?
澪ちゃんはすっごくがんばっているのに……なんでダメなんだろう??
あたしは……少し悲しくなってきたわ。澪ちゃんが笑顔じゃないのがイヤ。
だから、ぎゅって足に抱きついたの。
「澪ちゃんはすっごくすっごくがんばってるよ!」
「……ありがとう、桜乃ちゃん」
澪ちゃんからもぎゅってしてもらって、ちょっと笑顔にも元気が出てから……あたしとなっちゃんは樹おじいちゃんのおうちに行った。
おじいちゃんたちも出てくれるって言ってくれたわ!
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