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第111話 使えない私
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桜乃ちゃんは、いいなあ……魔法が使えて。
美濃さんがいるからだけど……私には小さいのも大きいのも出来ない。
桜乃ちゃんががんばって練習しているのを見ながら、ふーっとため息を吐くと、桜乃ちゃんのおじいさんに頭をぽんぽんされた。
「羨ましいか?」
うちのおじいちゃんより、とっても元気な水城のおじいさん。かっこよくて、ご近所のおばあさんたちに人気らしいけど……おじいさんはおばあさんが一番って桜乃ちゃんに聞いたことがある。テレビで言うなら、『ひとすじ』だっけ?
そのおじいさんが私を心配してか、ぽんぽんしてくれたの。
「……出来ないから、ちょっと」
「桜乃は色々特別だからな? 俺が美濃と契約してたときはあんなの出来なかったぞ」
「え? おじいさんが?」
「言ってなかったか。俺はガキん頃の美濃の契約者だ。……数年後に離れたがな」
美濃さんは人間じゃないから、おじいさんが子どもの頃にいっしょだった。
だけど、今はその立場は桜乃ちゃん。
離れたって言うことは……何か理由があったのだろう。聞いていいのかな?
「灯!」
おじいさんに聞こうとしたら、桜乃ちゃんがきちんと魔法を使えるようになったのでお話は終わりになった。
並べてあったパンにきれいに焦げ目がついて、とっても美味しそう。
『うむ。では次にゆで卵じゃ。湯を強く沸かす方法は火の魔法を使うぞえ』
「うん!」
どうするんだろうと思ったら、コンロの上に置いたお鍋に水を入れて……横に手を添えたら、すぐにぶくぶくとお湯が出来た! 桜乃ちゃんすごい!!
「桜乃ちゃんすごいよ!」
「えへへ! アニメでちょっと見たの思い出したの!」
「……まあ、ばあさんの料理作ってるとこは見えないしな」
『良い良い。そこに、夏樹や。お玉を使ったゆっくりと卵を沈めるのじゃ。その後にタイマーを使って茹でていく』
「! はい!」
出来ないと思ったことを手伝わせてくれる。
お母さんとはまだちょっとしかお料理出来ていないけど……ここはあったかいな。
とっても、楽しい場所なの!
美濃さんがいるからだけど……私には小さいのも大きいのも出来ない。
桜乃ちゃんががんばって練習しているのを見ながら、ふーっとため息を吐くと、桜乃ちゃんのおじいさんに頭をぽんぽんされた。
「羨ましいか?」
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そのおじいさんが私を心配してか、ぽんぽんしてくれたの。
「……出来ないから、ちょっと」
「桜乃は色々特別だからな? 俺が美濃と契約してたときはあんなの出来なかったぞ」
「え? おじいさんが?」
「言ってなかったか。俺はガキん頃の美濃の契約者だ。……数年後に離れたがな」
美濃さんは人間じゃないから、おじいさんが子どもの頃にいっしょだった。
だけど、今はその立場は桜乃ちゃん。
離れたって言うことは……何か理由があったのだろう。聞いていいのかな?
「灯!」
おじいさんに聞こうとしたら、桜乃ちゃんがきちんと魔法を使えるようになったのでお話は終わりになった。
並べてあったパンにきれいに焦げ目がついて、とっても美味しそう。
『うむ。では次にゆで卵じゃ。湯を強く沸かす方法は火の魔法を使うぞえ』
「うん!」
どうするんだろうと思ったら、コンロの上に置いたお鍋に水を入れて……横に手を添えたら、すぐにぶくぶくとお湯が出来た! 桜乃ちゃんすごい!!
「桜乃ちゃんすごいよ!」
「えへへ! アニメでちょっと見たの思い出したの!」
「……まあ、ばあさんの料理作ってるとこは見えないしな」
『良い良い。そこに、夏樹や。お玉を使ったゆっくりと卵を沈めるのじゃ。その後にタイマーを使って茹でていく』
「! はい!」
出来ないと思ったことを手伝わせてくれる。
お母さんとはまだちょっとしかお料理出来ていないけど……ここはあったかいな。
とっても、楽しい場所なの!
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