上 下
110 / 128

第110話 使える魔法②

しおりを挟む
 食パンは前につくったのを、美濃みのさんがとってってくれたのがある。それにいろんな材料をはさんでいくんだって。

 ホットサンドはわかるの。おかあさんやおばあちゃんが、あまった食パンでつくってくれる耳はカリカリしててあったかい、さっくさくのサンドイッチ。

 それをつくるのに、魔法も使えるのはすごいわ!!


 ベーコン。

 レタス。

 チーズ。

 ゆでたまごは、はんじゅく。

 トマト。

 マヨネーズとバター。


 これで今日はつくるんだって!



『さて、材料が揃ったところで……桜乃さくのが扱える魔法じゃな』

「美濃さん、どうすればいいの?」

『ふむ。桜乃はどう扱うと思う?』

「え?」

「桜乃ちゃん、あれだよ! くいっくみたいに決めポーズとか」

「あ」


 なっちゃんの言うとおりだわ。決めポーズをしなきゃ魔法じゃないもん。

 ただ、おじいちゃんたちは笑っていたけど?


「くくく。そうきたか」

『間違っておらぬが……まあ良い。では、まずは火の魔法じゃ。どのように決めても良い。パンの表面を軽く焦がすのじゃ』


 いいみたいだから……考えて考えて。

 今日の朝みてきた、魔法を使う女の子たちのアニメを思い出しながら、しゅぴんって決めポーズをやって。


「ファイヤ!」


 おじいちゃんやおとうさんがやってるゲームの魔法を思い出したから、指をパンに向けてみれば……シュワーって、手で持つ花火みたいに火が出て来ちゃった。

 だから、当たったパンが真っ黒こげこげ!?


「「あぁ……」」

『良い良い、初回で出ただけでもマシじゃ』

「……ごめんなさい」


 食べ物をもったいないことにしちゃったから、あたしは正直にあやまった。でも美濃さんはおこらずに頭をなでてくれてから、今度はお手本を見せてくれたの。

 小さい火が出てきて、パンにあたればシュバっときれいなこげができてた!


『慌てずゆっくりじゃ。しかし、ファイヤーは火力が強かろう。トーチという小さいものから練習しようぞ?』

「トーチ?」

『灯りという意味じゃ。あちきがいましたようにの』

「お前さん、いつのまにそんなオタクに」

『そちがあちきから離れても、あちきは付喪神。式を使って情報収集くらいしてたのよ』


 桜乃とまた会うためにの?

 って、うれしそうに笑ってくれるから、あたしもうんって笑った。だって、美濃さんといっしょはたのしいしうれしいもん!!
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

鎖 -アゲハ舞い飛ぶ さくら舞い散る2-

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:28

『マンホールの蓋の下』

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

妖精のいたずら

恋愛 / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:391

仙年恋慕

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:367

異世界召喚に巻き込まれました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:1,214

飯がうまそうなミステリ

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

ぼくの淫魔ちゃん

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:4

ホロボロイド

SF / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

二番煎じな俺を殴りたいんだが、手を貸してくれ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...