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第101話 夏樹の悩み事

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「本当にごめんなさい!」


 パンを食べてから、なっちゃんがどーしてかあやまったの。なんで? って、あたしは聞こうとしたら……美濃みのさんが『良いぞ』って言ったわ。


『無断で覗き見したことじゃろう? あちきもじゃが、桜乃さくのらも別に怒っておらぬぞ?』

「……けど、悪いことしたので」

『ほっほ。駿しゅんみおも似たようなものじゃった』

「え?」

「……うん」

「そうそう、いい匂いしてたら……つい」


 みんなでうんうんしてたら、なっちゃんはまたぽかんって口を開けちゃったんだけど。口を閉じたら、こんどは泣いちゃった!?


「なっちゃん!?」

「……ご、め。なんか……いいなって」

「え?」


 どーゆーことって聞くと、なっちゃんはグスってしながら手で涙をこすったの。


「……私、おうちが桜乃ちゃんや駿君のように、食べもの屋さんじゃないから」

「うん?」


 なっちゃんのおうちは、おとうさんが会社員さんでおかあさんは……でざいなーさんだって聞いた気がする。どんなお仕事なのかはよく知らないけど。


「私、料理出来ないから……いいなって」

『そうなのかえ?』

「……レンチンするだけで、レンジこわすんです」

「「……うん」」


 それはすごい事だったので、駿も知っているくらい。変なあだ名もついたけど、先生たちのおかげで今はいじめもない。あと、なっちゃんすっごくかわいいんだもん。最後のは今は関係ないかもだけど。



『ふむ。であるから、手で生み出すものに憧れておるのか?』

「……はい」

『では、やろうぞ』

「え?」

『器用や不器用も最初は同じじゃ。治す方法も何か見えよう。段蔵だんぞう、良いか?』

「……俺は目にしたことないが、場合によっては壊れるのはお前だぞ?」

『ほっほ。あちきは付喪よ。簡単には壊れぬ』

「……美濃さん、大丈夫?」

『友を助けたくはないか?』

「!」


 すごいわ、美濃さん。

 あたしが、ずっとできなかった言葉をきちんと口にしてくれるんだもん。

 なっちゃんはまだ不安そうにしてたけど……あたしはうんってうなずいた。


「なっちゃんといっしょに作りたいわ!」


 お友達の困ってることは、助けてあげたいもん!!
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