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第99話 びっくり続き

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 バターができあがってから、おじいちゃんがこーかすいパンを焼いてくれて。

 ふたを開けたら、ステータスが出てきてポイントとか説明とかが出てきた。

 まだまだ次のレベルまでにはいかないけど、今日も成功だったわ。やった!

 駿しゅんみおちゃんといっしょにタッチしたら、入り口の方から『わ!?』って声が聞こえてきたわ。

 今の女の子の声って、まさか!?


「なっちゃん!?」


 蔵のとびらを開けたら、外にはなっちゃんが立ってた。


「さ、桜乃さくのちゃん!」

「なっちゃん、どーしてここに?」


 びっくりしたけど、なっちゃんはもじもじしていたわ。見ちゃいけないものを見たのにおどろいたのだとは思う。でも、こわいとかは思っていないようだった。

 あたしは、ゆっくりでいいからと声をかけてあげれば……なっちゃんはうんって首を縦に振ってくれた。


「えっと。桜乃ちゃんが自由研究……どうしているか知りたくて」

「うん」

「おばあさんにどこかにいるかは聞いたけど……いい匂いがして、ちょっと見たら桜乃ちゃんたちがいて」

「気になった?」

「うん」


 駿や澪ちゃんと同じだったわ。

 びっくりしたけど……パンの匂いが気になって、食べたくて。

 そんな気持ちとすごく似てた。あたしにはそう見えた。

 だから、美濃みのさんに振り返って……目が合ったら、首を縦に振った。


『良いぞ』

「なっちゃん、こっち来て!」

「え……え?」


 手をゆっくり引っぱって、中に入れてあげれば……澪ちゃんたちは笑顔だった。なっちゃんが来ておこっている人はひとりもいないもん。


「ここが、あたしの『ままごとキッチン』!」

「……ままごと?」

「なっちゃんも昔遊んでくれた、あのおもちゃがこうなったの!」

「……えぇえ?!」


 びっくりするのはしょうがないけど、ちゃんと説明はしなくちゃ。あたしはなっちゃんが悪い子じゃないのは知っているんだもん!


「おう。伊澤いざわの嬢ちゃんか、パンのいい匂いして釣られてきたか?」


 おじいちゃんがそう言うと、なっちゃんは可愛いお目々をさらに大きくした。ちょうどオーブンから出たパンを見てびっくりしたみたい。


「……ここ、お店?」

「ううん。あたしたちの秘密の場所。奥のお姉さんは人間じゃないの」

「えぇえ?」

『この姿では、初めてかのお。夏樹なつきよ』


 美濃さんがふんわり浮かぶようにしてこっちに来たら、なっちゃんはキレイな美濃さんを見て、ぽかんと口を開けちゃった。

 びっくり続きで、美濃さんを見てももっとびっくりしたかもね?

 とりあえず、なっちゃんもいっしょにパンを食べようと美濃さんがていあんしてくれたから……魔法でえいっとイスとかを出してならべたわ。
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