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第93話 酵母を学ぼう②
しおりを挟む『このように穀物などから手作りする方法を『自家製酵母』と言うのじゃ』
「「はーい」」
「初心者には難しそうですね……」
澪ちゃんが言うとおりだと思うわ。普通のイーストの粉と違って、ベタベタしてるし使いにくそう……。
作った『湯種』はおじいちゃんがまとめてから、ラップをして冷蔵庫に入れてくれた。中がにおわないかなあ?
だけど、美濃さんはどんどん次のこーぼを見せてくれたわ。ビンづめのそれもくっちゃい!?
「「くちゃい~~……!」」
駿とまたいっしょに鼻をつまんじゃう。こーぼって、全部こんなにもくっちゃいの? でも、パン作りには大事だって美濃さんが言うんならがまんしなくちゃ。
『ほほほ。まだマシじゃぞ? 桜乃や、普段納豆は食べぬか?』
「? 食べる」
『匂わぬか?』
「こいつ、におわ納豆しか食ったことねぇぞ」
『ふむ。であれば仕方ないかの?』
「納豆って、くさいの?」
「くっさいよ~? ちゃんとしたのは」
「……チーズ入れると、好き」
「あら、美味しそう」
納豆のお話に変わっちゃったけど、こーぼと同じなのかな? おじいちゃんが言ったけど、あたしが朝ごはんとかで食べる納豆はあんまりにおいがないものだから。今日のこーぼみたいににおいはしない。
『うむ。菌を持つものは、大抵臭いが独特じゃからな? 納豆は日本を代表する臭い食べ物じゃ。酵母と同じく、発酵臭が独特での? 桜乃も食べるようになったら、比較してみると良い』
「はーい」
さらに、と今度はあんまりにおわないビンを美濃さんは出してくれたの。デザートみたいに、下は白で上は果物のゼリーにも見えるわ。あとブドウを入れたジュースみたいなのとか。
「お? こっちはヨーグルト種か?」
「……これヨーグルト?」
牛乳かと思ったら、違うんだって。
フタを開けてもらうと酸っぱいにおいはするけど、あんまりくさいのはわからなかった。
『食パンに良いぞ? ふっくら仕上がる上に味も良い』
「へー! そのまま食べるんじゃなくて混ぜちゃうんですね!」
『自家製で作りやすい酵母の種類ぞ。ドライフルーツが良いが、レーズン以外も可能じゃ』
自分でも作れるってわかれば、今からこれを下ごしらえしようって、美濃さんがままごとキッチンの台に案内してくれた。
ヨーグルトのパック以外に、かわいたフルーツとかがたくさん!
レーズンはお水といっしょに入れておくだけで。ヨーグルトとフルーツはビンに半分ずつ入れて、フタをする。
このあとは、ふつうだったら何日もかけて作っていくんだけど。
「『時間短縮』!」
あたしには、美濃さんがいるから魔法のようなことができるの。だから、時間を進めてはっこーしてくこーぼのようすを見ることができるんだもん!!
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