【完結】パンでパンでポン!!〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

櫛田こころ

文字の大きさ
上 下
92 / 128

第92話 酵母を学ぼう①

しおりを挟む


「こーぼってなーに?」


 わかんなくて美濃みのさんに聞いたけど、美濃さんは首をたてに振って……ままごとキッチンからボウルを持ってきたわ。


『これが、酵母こうぼのひとつなのじゃ』


 中に入ってたのは……生地?

 だけど、真っ茶色でぶつぶつが多くて……いつもの生地じゃないわ。これを何に使うんだろう?


「あれ? 酵母って、イーストとかですよね?」

 あたしや駿しゅんがジーッとのぞいてたら、みおちゃんがはいって手をあげたわ。

 質問の意味は、あたしもちょっとだけわかった。イーストはつぶつぶの粉で、パン作りには大事な材料っていうくらいだけど。


『今のも間違いではないぞ? 一般的にパンの発酵を促すのはイースト菌を意味する。じゃが、イーストと呼ばれるものは幾つか存在する上に用途も違うのじゃ。この酵母は粉と湯で作るものじゃよ』

「「よーと?」」

「使い方ね。言われてみれば、レーズン種とか聞きますもんね」


 むずかしいお話だったけど、すぐにひっきようぐとノートを持って、あたしと駿はメモを書いた。ここからが、じゆうけんきゅうのスタートなんだもん!


『そうじゃ。これはその酵母のひとつで、文字通りじゃが『湯種ゆだね』と言うものじゃよ』

「「ゆだね?」」

「ぼこぼこに沸かした湯に、計った粉を混ぜて作るもんだ。使うのは、たいていフランスパン……細長い固いパンだな?」

「「うんうん」」


 おとうさんが作る固いパンはわかるわ。けど、バリバリ食べるときに、バターたっぷりつけるのがあたしはすきー!

 美濃さんは、さっそくだが……って、あたしたちをコンロの前に立つように言ったの。


『どれくらい湯を沸かすか、あちきが術で見せてやろう』


 澪ちゃんがおっきなおなべに水をたっぷり入れてくれて……美濃さんが、手を前に出したら、水がゴボゴボって動いた!? それにお湯がわいたように、湯気も出てきた!!


「だ、大丈夫!?」

『じゃが、湯種にはこれくらいの温度でなくてはいかん』

「熱いのが、かなめだからなあ?」


 おじいちゃんはボウルに粉を入れてたんだけど、白いのじゃなくてぜんりゅーふんだったわ。あれにお湯を入れたら、べちゃべちゃしないかなあ?

 お湯ができたら、美濃さんは魔法でおなべを動かして、お湯をゆっくりボウルの中に入れた。おじいちゃんは、木ベラでこねこねしていく。べちゃべちゃにはならなくて、おっきなお団子のようになったわ!


『これをまとめてラップにくるみ……冷めたら、冷蔵庫でしばらく寝かせれば、生地に混ぜられるのじゃよ』

「「しょーなんだ」」

「けど、匂いすごいですね……」

「作りたてはなあ?」


 さっきとは違うくっちゃい匂いに、あたしや駿は鼻をつまんだわ。でも、こーぼは大事なのね!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

我が家の家庭内順位は姫、犬、おっさんの順の様だがおかしい俺は家主だぞそんなの絶対に認めないからそんな目で俺を見るな

ミドリ
キャラ文芸
【奨励賞受賞作品です】 少し昔の下北沢を舞台に繰り広げられるおっさんが妖の闘争に巻き込まれる現代ファンタジー。 次々と増える居候におっさんの財布はいつまで耐えられるのか。 姫様に喋る犬、白蛇にイケメンまで来てしまって部屋はもうぎゅうぎゅう。 笑いあり涙ありのほのぼの時折ドキドキ溺愛ストーリー。ただのおっさん、三種の神器を手にバトルだって体に鞭打って頑張ります。 なろう・ノベプラ・カクヨムにて掲載中

【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。

riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。 召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。 しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。 別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。 そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ? 最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる) ※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】追放住職の山暮らし~あやかしに愛され過ぎる生臭坊主は隠居して山でスローライフを送る

張形珍宝
キャラ文芸
あやかしに愛され、あやかしが寄って来る体質の住職、後藤永海は六十五歳を定年として息子に寺を任せ山へ隠居しようと考えていたが、定年を前にして寺を追い出されてしまう。追い出された理由はまあ、自業自得としか言いようがないのだが。永海には幼い頃からあやかしを遠ざけ、彼を守ってきた化け狐の相棒がいて、、、 これは人生の最後はあやかしと共に過ごしたいと願った生臭坊主が、不思議なあやかし達に囲まれて幸せに暮らす日々を描いたほのぼのスローライフな物語である。

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

無能な陰陽師

もちっぱち
ホラー
警視庁の詛呪対策本部に所属する無能な陰陽師と呼ばれる土御門迅はある仕事を任せられていた。 スマホ名前登録『鬼』の上司とともに 次々と起こる事件を解決していく物語 ※とてもグロテスク表現入れております お食事中や苦手な方はご遠慮ください こちらの作品は、 実在する名前と人物とは 一切関係ありません すべてフィクションとなっております。 ※R指定※ 表紙イラスト:名無死 様

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...